コミュ障の俺が彼女なんて出来る訳がない。

だちょ

改稿 第1話 出会い

「なあ小宮こみや、みんな待ってんぜ?それともまだ殴られ足りねぇか?」

「い、いえ......」

「じゃあ早く飛べよ」

「で、でもここ三階だか......」


ドゴ

鈍い音と共に体に激痛が走る、目の前には綺麗な赤色をした体液らしきものが飛び散っている。


「おめぇうぜぇんだよ、早く飛べ」

「は、はい」


逃げ場もない僕はもう三階の教室のベランダから飛び降りる選択しか無かった。

僕は意を決して手すりを飛び越えた。

(もう死ぬのかな俺...)

----------------

「あー嫌なこと思い出しちゃった」


雲一つない快晴の桜舞う四月。

そんな天気と対立するようなテンションで坂を上る


「あの出来事から二年経ったのかぁ」


俺、小宮 翔太郎しょうたろうは中学生の頃いじめられていた。

理由はコミュ障だったから、ただそれだけ。

その事件をきっかけに学校は転校していじめはなくなったが、もちろん友達はできなかった。

そんな理不尽極まりない過去を抱えてる俺も、この春から晴れて新高校生になる......初日早々遅行ギリギリだけどね。

小宮は全力で自転車を漕いだ甲斐あって、初日遅刻という地獄の事態は避けれたが、犠牲に付けていたマスクは汗で使い物にならなくなってしまった。


「嘘だろ...外してくりゃ良かった...」


そう、マスクはコミュ障にとって必須アイテムなのだ(※個人の意見です)

息を切らしたままそんなどうしようもない事を呟きながら自転車を止め、学校の玄関へと向かった。

下駄箱で今日の為に買った新しい上履きに履き替え、A4サイズくらいの緑色のクラス表をスーツ姿のいかにも社会人って感じの人から受け取った。

「ええと俺は...あ、いた1年C組か」

さっき受け取ったクラス表を見ながら階段を上る。

周りには、俺と同じ遅刻ギリギリ組の生徒が4~5人焦りながら階段を上っている。

階段を登り終えて西側に伸びている廊下を渡り、周りの視線を気にしながら二つ教室の前を通り過ぎて自分の教室のドアの前まで来た。


「大丈夫、大丈夫だ」そう自分に言い聞かせてドアに手をかけた。

ガララと音を立てながらドアを開く。

一気に小宮へと注目が集まる。

たまらず小宮は、目線を下にさげてクラスをちょこっーと見渡した。

その時にひと際目立つ美少女と目が合った小宮は、焦ってすぐに目線を手元の紙に移した。


「ええと、俺の席は...」

手元の紙を見ながら自分の席を探していると。

「ここだよ」

と、とても可愛らしい声が聞こえてきた。

小宮はふっと顔を上げてその声が聞こえてきた方に目線をやると、

その先にいたのはあの美少女だった。

自分の席はその子のとなりの席。

こんな幸運合っていいのだろうか、色々あったけど産まれ来て良かったとしみじみしている小宮に構う様子もなく、美少女は小宮に声を掛ける。

「君、名前は?」

「こ、こみやです」

「それ苗字だよ」

「(いやツッコミ結構鋭いな)し、しょうたろうですけども」

「こみや しょうたろう君?」

「そうです」

「へ~なんか凄い雰囲気と合ってる名前だね、コミュ障君」

「いや、こみや しょうたろうなんですけれど」

「私は犬塚いぬづかあかね よろしくねコミュ障君」

「いやそこ無視なんだ...よろしくお願いします犬塚さん」

「あかねでいいよ」

「いやちょっとそれは」

「あかねでいいよ」

「.....考えておきます」

「そっか」


思ったより美少女のキャラが濃かった。かなり、いや超絶に。


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