悪役連合 〜導かれし者たち〜 Layers Return special story

@lightman_JOE

第1話 神に弓引く骸(むくろ)の王

遠い昔、果てることのない戦いの続く、どこにでもある戦場でー

彼は敵の銃弾に倒れ、他の死体と同じように朽ちた骸となっていた。


「そうか、私も所詮、誰かの物語の端役の1人であったか…」


彼は生まれた時から戦場にあった。

いたるところに当たり前にある死。

希望などない。

彼は幼い頃から知っていた。この世に神などいない。あるのは自分の生と戦う力のみ。


「神は苦難を試練として与えてくださる。誰しもが主人公であり、切り開くのは己次第であると。」


牧師の言葉を聞くたびに思った、


「ならば終演(終わり)決めるのも神なのか、絶望というものを与えるのが神であるならば、私はそんな筋書きなぞ書き変えて、神なぞ殺してやる!」


そんな彼も戦場で死んだ。

そしてー神、創造主などと呼ばれる存在に出会った。

その存在は言った。

「お前は私を神を信じない。自分のみを信じ私を超越したいなどと面白いことを言った。

ならば死ぬことのない身体と時空を渡る力を授けよう。我を超越したいと望むなら、その力で我を超えてみせよ」

彼は答える。

「望むところ。お前の台本などに縛られない。我はこの世の全てを統べるものとなりて貴様を倒してくれよう。

そして全てを超越したモノとなろう」


数多の戦場でささやかれるようになった、一人の不死身の兵士の噂。

そしてその兵士は卓越した戦術眼を持った不死身の指揮官となり、

あまたの敵対する国を滅ぼしその軍門に下らせ、この世に覇を唱える閣下となった。

ただの噂話であったものはやがて規模を増して現実のものとなり、それは伝説の存在となった。


彼は思った。我はこの時空は支配した。

だが神に弓引くにはまだ力が足りぬ。役者が足らぬ。舞台が足らぬ。

奴が私に与えた時空を渡る力、これでほかの時空より兵を集め最強の軍勢を率いよう。

ただの兵ではない。圧倒的な力を持つ強者。それも、私と同じく世界を滅ぼしたいと願う者。

あらゆる時空からその者達を我が軍勢に加えよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る