第2話 わたしが異世界テンプレが楽しめない理由

 寝ようと思っていたところに、ふと思い至ったのでつらつらと書き連ねてみようと思う。


 結論から言わせていただこう。わたしは異世界テンプレというものがどうにも楽しめない。このカクヨムでもランキングの上位に来ている作品の多くは異世界テンプレ的な作品ばかりだ。わたしはここ最近、ランキングに載っているものを片っ端に読んでみたのだが、どうにもしっくりこない作品ばかりであった。


 それでふと疑問に思ったのだ。どうしてわたしは異世界テンプレというものを楽しめないのだろうと。それで、考えてみた。


 ここで一応、異世界テンプレについて説明しておこう。異世界テンプレとは、中世ヨーロッパ風異世界を下敷きにレベルだのスキルだのといったゲーム的要素が出てくる作品のことだ。他にもチートとかハーレムとか俺つえーとかもあるが、詳しくはグーグル先生にでも訊いてくれ。


 では、異世界テンプレが楽しめない理由を言ってみよう。


 簡単に結論から言えば、必要のない情報が多々あるからである。


 必要のない情報というのはどういうものなのか? 


 それは、ハンコを押したようにお決まりで出てくるレベルとかスキルとかといったものである。


 古い考えなのかもしれないが、小説においてキャラクターが持つ技能はキャラクターをそのように動かして見せるものである。強いキャラクターであれば何十人と相手にしても打ち勝てるとか、すごい技術を持ったキャラクターならその技術を行使するシーンを描くのが普通だ。


 だが、異世界テンプレに出てくるスキルやレベルというやつは、こういうことができますよ、という記号を張りつけるだけである。邪道ではあるが、これにもメリットがあって、そのキャラクターが持っている技能や強さがわかりやすくなるというものがある。


 それで、わたしにとってその貼り付けた記号は必要なくない? と思ってしまうわけだ。そういう能力があるのなら、スキルだのレベルだの出さずにキャラクターを動かしてそういう技能や強さを持っていますよ、と示せればいい。


 ついでにいえばお決まりステータス表示も、わたしにとっては文字数稼ぎにしか思えない。強いのなら、強くなったのなら、そのようにキャラクターを動かせばいいではないか。スキルやレベルなんぞ出す必要がどこにある。


 異世界テンプレが楽しめないわたしが楽しめている異世界ものはレベルとかスキルとかステータスとか出てこない作品だけだ。


 要は、必要のない情報がごてごてとあって、それが邪魔で読む気が失せてしまうのだ。


 最近は、大人気ネット小説が書籍化して爆死するケースが増えていると聞く。ネットを読む層と書籍を買う層はかなり違うと言われており、書籍を買う層は、このレベルだのスキルだのステータスだのが意味がわからず面白いものだと思えない層が多いのではないかと予想している。これが、大人気だったネット小説が爆死する原因の一つではないかと思う。わたし自身、ネット小説を読むようになったのは自分が投稿するようになってからなので、レベルだのスキルだのステータスだのが意味不明と感じてしまうのはわりと普通だと言えるだろう。


 念のため、言っておくが、わたしは異世界テンプレを否定するつもりはない。異世界テンプレが評価され、実績を上げているのも事実だ。今後も、ネット小説においてはメインストリームであり続けるだろう。異世界テンプレが好きな人を否定するつもりはないし、異世界テンプレを書きたい人も否定するつもりもない。ただ、わたしの身勝手な嗜好により楽しめないというだけなのだ。


 以前、Twitterで発言したのだが、わたしのような異世界テンプレを楽しめない人のために異世界テンプレの楽しみ方を解説するエッセイなどがあったらいいなと思っている。


 長くなりましたが、これで終わりです。

 ここまで読んでくださりありがとうございます。

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