難儀 談義 難義 談議 (一)

[鶴鍵 奇譚] [猪目 五月]

0.

「貴方の答えを聞かせてよ」

 浮かんでは消え、浮かんでは消え

 それを繰り返して出来た泡沫うたかたのような

 ぼやけた輪郭をつなぎ合わせたような

 形にならないそれらを目にした、貴方の答えが知りたい。


「貴女の答えを聞かせてよ」

 対岸を目指して、月を渡る

 そんな『こうかい』の連続ような

 言葉にならない思いを、無理やり言葉にしたような

 そんな不器用な私を見た、貴女の答えを聞かせてよ


「ゆっくりで良いから」

 忘れるように、思い出すように

 祈りのように、願いのように

 染み入るように、流れだすように

『いつか』が今日を追い越すように

 転ばぬように、止まらぬように

 楽しむように、悲しむように

 そんな日々を過ごしながらも私は、待っているのです。

「あなたの答えを」

 

 


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