ディマイズゴーレム
@roshing
第0話 対立
RX29年4月9日18時 大阪城跡地前
夕暮れに染まった朽ちた旧阪神高速13号線東大阪線で数十年放置され続け、とうの昔に動かなくなった錆びついた車列の中で少年が二人で話し合っている。
一人は身長170cmぐらいの少年で逆立てた短い黒髪に細過ぎない眉と二重の瞳が輝き、スッと伸びた鼻筋に大きめの口がバランスをとって、アジア系の凛々しい顔立ちをしている。右手には赤い脈打つ腕輪と鍛え抜かれた体のラインがはっきりと分かる黒いウエットスーツに使い古された赤いスピードシューズを履いている。
もう一人は左手に青い脈打つ腕輪と白いウエットスーツに青いスピードシューズとだらりと伸びた黒髪以外、全く同じ姿の少年が合わせ鏡の様に立っている。
二人が何か話すたびに高速道路のコンクリートが剥がれ落ち、乾いた音を反響させ大地をわずかに震わせると砂塵を舞い上げる。
黒の少年は声を荒げ叫ぶ。
「夢を見て明日への希望を抱くから人は生きられる!」
白の少年はため息をつくと淡々と言葉を置く。
「現から目を背け今日の絶望を放す人は生きられない」
それから二人はしばらく対話するがまとまる事は無く、激しくにらみ合うと口を閉ざした。
一瞬の静けさが風の音だけを伝えると合したように二人の声が揃う。
「くだらない」
「俺がお前を」
「僕が君を」
「ここで止める! EDEL起動!」
ぶつかり合う赤と青の光。
二人の脳裏には楽しかったあの一瞬が思い浮かんだ。
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