PM1:38

「ほならね、三崎君。ウチも一つ訊いて、ええかな?」


 と、今度は波根さんの方から振られてきた。多分だけど、あっちも無言が居たたまれないんだろう。気持ちはすげぇ分かる。


「ああ、いいよ」

「あんがとな。えと、今日の授業やけど……どう思う?」

「授業……?」


 それはこの体育の事か、彼女との接点が出来た古文の授業の事か、はたまた朝からの授業全てを指しているのか。


 まぁどの意味であれ、〝イカれている〟という感想しか抱きようがない。が、そんな事を馬鹿正直に言ったところで、イカれた世界に染まり切ってしまった人間には理解さえしてもらえないだろう。


「んー、そうだな。なんかいつもより疲れたよ」


 ので、どうとでも解釈できそうな返しをしてみる。さすがは日本語。お前なりに解釈しな! とばかりの曖昧さだ。


「さよかー。うん、何となく分かるなぁ、それ」


 波根さんが頷く。俺の返答がお気に召したのだろうか。


 けど、あんまりツッコんでくれるなよ? 自分で言うのも何だが、すぐにボロがでるからな。


「具体的にどう疲れたんか、良ければ教えてくれへん?」


 だからツッコむなって……いや、相手は関西人。ツッコむのが仕事か、ちくしょう。

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