PM0:23

 レムがいた。仲間のぬいぐるみ達も周りに漂っている。


 その様子だけで言えばメルヘンな感じなのだけど、数が数だ。多すぎる。メルヘンを通り越して軽いホラーだ。


「よぉ、レム。もう終わったのか?」

『ワタシ達を甘ク見テモラッテハ困リマスね! 少々厄介デハアリマシタが、何ノ問題モナク修復シテヤリマシタよ』


 へぇ、優秀なんだな。正直、どんな感じで直してるのか全く想像できないんだが。魔術的な何かを使ってるのだろうか。


「そっか、お疲れ。悪かったな、俺のせいで」

『分カッテイルノナら、カリントウヲ持ッテ来ルノデす!』

「分かった分かった。さすがに一年分は無理だけど」


 購買で買うものが増えた。っていうか、かりんとうなんて売ってたっけ? 一度も見た覚えがねぇ。


 利用者の大半が生徒なので、そういう少し古風なお菓子は置いても買われない気がするが……イカれた拍子にラインナップが様変わりしてるかもしれねぇし、今気にしたってしょうがないか。


『サて、ソレデハワタシ達ハ寝直シマす。ソコノ先生、イイデスね?』

「おお寝ろ寝ろ。けど、4つ全部占拠するな、無駄に騒ぐな。この2つが守れるならだがな」

『マッタく、コノ期ニ及ンデ条件付ケデスか。マァイイデショう。ワタシ達は寛容デスカラね!』


 言いながら、ふよふよとベッドの方に飛んでいくレム。ぬいぐるみ達もそれに続く。


 なんつーかまぁ、改めてツッコむべき事があるような気がしないでもないが、気にしたら負けだぞ俺。気分を切り替えて、保健室を出


「大変だよ、修二!」


 ようとした矢先、俺を呼ぶ焦ったような声。


「凛……? どうしたんだ」

「いいから、早く教室戻って! ホントに大変だから、ってどこ行ってんの! 教室そっちじゃないから!」


 だって戻りたくねぇもん。ヤバい事が絶対に起きると宣言されてる場所に誰が好き好んで。

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