AM11:46

「で、お前ら。何でここにいる?」


 深沢がわりとマジなトーンで言う。


『何デト言ワレマシテも、朝カラ一仕事ヲシテ疲レタカラ休ンデイタダケジャナイデスか』

「休むのは別にいいが、俺に一言言ってからにしろ。何のために俺がここに常駐してると思ってる」

『ダッテ面倒ジャナイデスか』


 悪魔のくせに今時の若者みたいな事を言いやがる。ゆとりか。


 つーか、休んでたか? 何となく遊んでいたように見えたんだが。


「ま、それはもういいか。もう休憩は十分だな? とっとと準備しろ」

『ハい? アナタ、私ノ話ヲ聞イテナカッタノデスか?』


 レムのぬいぐるみ的な悪魔顔がくしゃりと歪む。笑ってる……みたいだ。


『私達ハ仕事ヲ終エタノデす。ダカラココデ休ンデイルノデす。ソレナノニ何ノ準備ヲシロと? 人ノ話ハ良ク聞ケト子供ノ頃ニ教ワリマセンデシタか?』


 いちいちうっとうしいなこいつ。


「だからお前悪魔じゃん。ならお前の話を良く聞いてやる義理はねぇと思うけど」

『アア言エバコウ言う……最近ノ子供達ハ口バッカリ達者ニナッて、大人ノ言葉ノ揚げ足ヲ取ッテバカり。大人ヲ小馬鹿ニシて、陰デコソコソホクソ笑む。マッタく、コレジャアロクナ大人に』

 

「先生。俺は今、このぬいぐるみを猛烈に握り潰したいです」

「奇遇だな、俺もだ」

『ナント野蛮な! 私ハ人権ニヨッテ守ラレテイマす。私ヲプチット潰スオツモリナら、国ヲ敵ニ回ス覚悟ヲ決メル事デスね!』


 いや、だからお前は悪魔……もう飽きたわ、このツッコミ。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る