AM11:41

「ってわけなんで、昼まで寝てていいですか?」

「ああ、勝手に寝てていいぞ。けどなぁ……やっぱネクロノミコン」

「おやすみなさい、先生」


 俺史上、最大級の笑顔、炸裂。


「あ、あぁ……」


 ふっ、勝ったな。全く嬉しくないが。


 何にせよ、ようやく解放された。俺は保健室の奥にあるベッドを目指す。


 ベッドは全部で4つ。見たところ、他に寝ている生徒はいないようだ。


 どのベッドを選んでもいい、というちょっとした優越感と、同志と呼べる生徒がいない事にちょっとした寂しさを覚えた。


(まぁ、いっか。俺はお墨付きを貰ってるんだ。折角の機会だし、昼からの授業に備えて思いっきりサボってやる)


 うん、俺は何も悪い事なんてしてないんだ。そう自分に言い聞かせながら、俺は一番手前のベッドの布団をめくった。


『きゃはははははは!』

「………………」


 俺はめくった布団を元に戻した。


 あ、ありのまま、俺が見た事を話すぜ。


『おれは誰もいないベッドを選んだはずなのに、布団をめくったらなんかめっちゃちっちゃなわけわからん生物がぎっしり詰まってやがった』


 な、何を言ってるのかわからねー……事もないな、うん。


 めっちゃちっちゃなわけわからん生物と表現した通り、それは人間ではないし、動物とかでもなかった。けど、確実に生物だった。めっちゃ笑ってたし。


 色々ツッコみたい事はあるが、俺のスルースキルはこの半日でメキメキと上がり続けているのだ。この程度の事で狼狽えるものか。


 って事で……俺は何も見なかった。いいね?


 

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