AM11:40

「さて、このフェルガノレンヴァリア……ほにゃらら文字だが、これがネクロノミコンを強力な魔術書たらしめてるのか……?」


 名付け親が10秒で忘れてんじゃねぇよ。フェルガノレンヴァリアシリシポステノスミジャジャノノ……ダメだ、俺も分からんから訂正できねぇ。つか、わりと覚えてた方だと自分を褒めたい。


「なぁ三崎。一度でいいから、魔術を見せてくれないか?」

「……適当に発動させた魔術の隕石に潰された身としては、これ以上バクチを打ちたくないんですけど」

「その言い分は分かる。だが、俺は見たいんだ。だから、是非!」


 なんとも自分の欲求に素直な養護教諭だ。もっともらしい理由で俺を丸め込む事すらしない。


 てか、何でここまで魔術に対する知識が豊富なんだ。元々オカルト好きな性格だったのかもしれないな。


「ほら、俺を助けると思って。なんなら、お前の担任にお前の評価が上がるような話を吹き込んでもいいぞ? 養護教諭と言う立場上、生徒に対する評価は的確だと教師陣には信頼されてるようだし」


 必死過ぎませんかね? てか普通に職権乱用だ。なんかもう、ある意味で好感が持てる。


だが断るイヤです

「そ、そこを何とか!」


「……仮に俺がここで魔術を使って、何かしらヤバい被害が出たり死人が出たりしたら先生、確実に先輩にシバかれますよ?」

「う……先輩を怒らせるのは、さすがにヤバいな」


 先輩、最強説。わりと教師カーストの頂点にいるんじゃないか? あの人……いや、悪魔。

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