AM8:43

「よし、ここまでは順調だ。後は……!」


 俺の煩悶などよそに、湯川は何やら召喚の第2ステップに進もうとしているようだった。


 母さんはこの後、何をしてたっけか……ああ、そうだ。ルシファーと契約をしてたな、そういえば。


 具体的に契約に必要な行為が何なのかは分からないけど。それも踏まえて観察してみるとしよう。


 ……は? 結局興味津々じゃねぇか、って?


 バッカ、これは敵情視察だよ。敵を知り己を知れば云々って言うだろうが。


 なんかもう、分刻みでわけの分からねぇ情報が飛び込んでくるような世界だぞ?

気ぃ抜いてたらマジで死ぬぜ? 


 ったく、分かったら黙ってろよな外野。俺はそんなくだらない好奇心で動いたりは……まぁ、ごくまれに、たまに、魔がさしてする事もあるかもしれないが、今回に関しては違うんだよ、きっと。そう、きっと!


「ベルゼブブよ! 古のめいわ……盟約に基づき、我と契約せよ!」


 噛んだ。噛んだよ湯川のバカ。


 契約とかで噛むのはご法度だろうが。めいわく……? そりゃまぁ、ベルゼブブ側からすれば迷惑だろうな。勝手に呼び出されて従えって言われてるんだから。


 一方、ベルゼブブは湯川の言葉を理解しているのかいないのか、大きな羽音を立てながらゆっくりと湯川に近づいていく。そして


 ガブリ! 


「食われたぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


 一般人代表の俺、絶叫。


 

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