Counter Smash!

蒼音 姶良

プロローグ

「もし、さ」

「…ん?」

「もし、目の前に神様が突然現れてさ」

「…」

「『君の夢を叶えてあげるよ』」

「『何でも叶うよ』」

「『何でもあげられるよ』」

「『何にでもなれるよ』」

「って言われたら、どうする?」

「……」

「あは。ごめんね急に?変なこと言ったでしょ」

「………ん」

「ん?」

「いや、ね…多分断れないなぁ、と思ってさ」

「そりゃそうだよー。私ならホワイトハウスの一つや二つかっさらっていくね」

「ホワイトハウスは世界に一つだろ…。それはともかく、だからさ」

「うん」

「『断る勇気』でも貰うよ」

「………」

「そんな聖人ぶるつもりはないんだけどさ。そこで断る勇気があるなら、何だってできるような気がしない?」

「あは。やっぱり面白いね、君」

「……え?なんで?」

「『ここ』に招待して、ずっと思ってたけどさ。君は他と一つ違う視点を持ってる。大事にしなよ。君が親から授かった才能だから」

「………才能、か」


才能。

僕にとってその言葉は、呪いであり。

たった一つの存在証明でもあった。


これは、僕が答えのない問いに悩みながらグルグルと台上で踊る、いや踊らされているのかもしれないが。そんな意味のない物語だ。

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