ソファーの上のパレード
切り株ねむこ
第1話 生息地ソファー。
私の世界は狭い。
1日のほとんどを家の中で過ごし、
出来るだけ家から出なくて良い方法ばかり考えています。
I Love 我が家。
今日は何も無いから、
1歩も家から出ないぞーー!!と思った矢先に何か用事が出来ると
本気でガッカリ。
「何で〜!!」と声にまで出す始末。
そんな事だから、
私は本当に本当に狭い世界で生きています。
とはいえ、
一応、少ないけれど友人はいるし、
バイトも就職もしたし、
結婚もして小学生の息子もいます。
幼い頃には転校経験もあったり、
大人になってからの引越しも数回経験あります。
なので、距離的な部分では
狭くない時期もありました。
ただ、行動範囲がいつも狭い。
どこにいても家から1番近いスーパーにばかり行くので、レジの人に覚えられて
「たまには魚も食べなきゃダメだよ」
と声をかけられたり。
また引越し先のスーパーでも
やはり1番近いところへ日々通うので
同じ様な事が起きます。
私が家を出る1番の理由は
食材の買い物ということです。
主婦ですからね。
なので、いつからか私が帽子を買う時の基準は、近所のスーパーに被って行けるかどうかになりました。
ちょっと出掛ける時に帽子ほど楽なものは
ありません。
ただ、派手過ぎたら浮くし、
かと言って自分の好みも貫きたい。
友人とショッピングに行くと
「これ被って近所のスーパー行けるかな?!」
が私の口癖です。
更に狭い世界にいると、
同じ趣味の人に会う機会がありません。
私はあの世界的有名作家の
村上春樹さんの大ファンなのですが、
そのファンにすら生きていて
出会ったことがないのです。
あんなに大ベストセラーになっているにもかかわらず。
作家に関わらず、
好きなミュージシャンにも
同じ現象がおきています。
私は話したい。
好きなものを共感したい。
村上春樹の中でどれが1番好き?とか、
あのミュージシャンの2ndアルバム良かったよねとか…
でも、私には出来そうもありません。
何せ私の生息地はソファー。
出現率が高いのは近所のスーパー。
なのですから。
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