第44話 初デート⑤

「マジかよ。自分の彼女が出てる映画に彼女を誘ったのかよ。ダセェ奴だな」

最後の一言が心に刺さった。

そうだよな。普通、彼女が出ている映画に彼女を誘わないよな。

「やめてください!…確かに私が出ている映画に誘うよくわからないセンスですけど…」

くはぁ。桜井さんにそう言われると本当に殴られたみたいに胸が痛い。

「けど、私の彼氏は誰にでも優しくして助けてあげる。私はそんな彼が好きなんです!」

「「「………」」」

周りが一瞬静まり返った。

「ヒューヒュー」

「この辺りなんだか暑いねぇ」

「…悪かった。ダセェとか言って。そうでよな。桜井さんが選んだ人だからいい奴に決まっているよなー」

なんというか、桜井さんのお陰で俺はいい奴って思われたのかな?

「桜井さん。ありが…」

桜井さんは顔を赤くして走って行ってしまった。

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