第43話 気持ち②

俺はすぐに電話に出た。

「…も、もしもし。桜井です…」

桜井さんの声が耳元に聞こえる。

「はい。もしもし。坂上です」

「…」

「…」

なんて喋ればいいかわからないどころか、耳元で囁かれているように聴こえて緊張する。

「…実は、優希に相談があって電話したんですけど、今時間いいですか?」

「ぜ、全然いいよ。ご飯食べた後でだらだらしてたから」

「相談なんですけど、…これは私の友達の友達の友達の話なんですけど」

友達の友達の友達?!それってもう赤の他人なんじゃ…そうか、桜井さんは他人の為にもいろいろ考えてあげているんだ。

「その友達は夢と恋をしていて、最近になってその恋が実ったんです。ですが、夢がその邪魔を始めたんです」

…つまり、その友達は恋を捨てるか夢を捨てるかで悩んでいる?

「友達は直ぐに夢を捨てると言いました。ですがその友達の夢は親や沢山の人の協力を得て叶った夢です。なので、沢山の人から夢を捨てないように止められています。私もその友達を止めた方がいいでしょうか?ですが、夢を止めてしまうと恋も一緒に止まってしまうんです」

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