第27話 本当に恐いもの②

「………」

緊張して声が出ない俺。

なんたって桜井さんが隣に座っているんだから。ちなみに、席を決めたのは、マネージャーの千原さんだ。

「さ、桜井さん。窓側の方が景色がいいから席譲ろうか?」

やっとの思いで声を出し、桜井さんに言ったが、

「…いや。いい」

かなり素っ気なく返されてしまった。

やばい、これ以上、話す内容が思いつかない。

何も話さないまま、飛行機が動きはじめた。

飛行機が離陸のためスピードを上げていく中、俺は桜井さんが少し震えているのに気がついた。その時、思い出した。

桜井さんは、高い所が苦手であったことに。

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