第20話 外の世界は素晴らしい④

…どういう状況なんだ。

霧街さんを霧街さんのお父さんに任せて、みんなのところに戻る前に、白い人の様子を見に行こうとしたら、白い人が座り込んで狼女に説教?をされていた。

「それで心配になって来たとして、どうやってここがわかったの?」

「酒場の会の人に知り合いがいるから、その人に聞いて、ここってわかったの」

「酒場の会の知り合いの人だったんですね。さっきは、ありがとうございました」

俺がお礼を言うと、

「びっくりしたわ!いきなり出てこないでよ」

狼女に怒られてしまった。

「…さ、さらばだ」

そう言って、白い人は、姿を消した。

「しまった。今度、何か奢るって言ったのに名前を聞くの忘れてた」

「誰かわかってないの?」

この言い方だったら狼女は誰か気付いているみたいだ。

「誰なんだよ?」

「…。自分で気づきなさい」

どういう意味か、分からない。

「教えてくれよ」

「そんなことより、サイレンの音が聞こえるわ。急いで戻りましょう」

なんだか、はぐらかされた気がする。

だが、確かにサイレンの音が聞こえ始めている。

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