第20話 外の世界は素晴らしい②

「…もう、いいの…わたしが死んでも誰も悲かなしまないから…そんなわたしの為に…みんなを危険に晒したくない!」

何を言っているんだか。

俺は少し呆れた。

「そんな事ない。君のお父さんだって…」

「父は!…父はわたしを置いて外国に行って…わたしなんかより仕事を優先したんです!」

ここまで勘違いしているとは、とりあえず先を急ご…

バッコーン

…し、死ぬかと思った。

いきなり車が廃墟の壁を破って中に突っ込んで来たのだ。

まさか、ここまでして、人質を取り返しにくるとは、

「美奈を返せぇぇぇ!」

車から降りて襲いかかって来た。

「…と、父さん!?」

えっ。

霧街さんの一声で、この場が固まった。


「すまない。君が娘が誘拐されたことを教えてくれた人だと気づかなくて」

謝りながら、霧街さんを車の中で治療しながら言う。実は、霧街さんの部屋にあった携帯から霧街さんのお父さんに連絡出来たので、連絡したのだ。

「いえいえ、こちらこそ、こんな被り物をしているので」

「…ありがとう。娘を助けてくれて」

「いえいえ。正義のヒーローとして当然の事です。…一つお聞きしたいんですが、やはり、外国にいた理由は、娘の為ですか?それとも、仕事の為ですか?」

一応、聞いてみた。

「…娘の為だ。娘が寂しい思いをしているのも知っていた。だが、娘の薬の開発をするに為には、外国で研究しないといけなかったんだよ。…よし、これでいい。そろそろ帰ったほうがいいぞ。警察を呼んだからな。その被り物をしているということは、バレたらまずいんだろ?」

霧街さんは車の中で寝ている。

もう、ここで俺がする事は何もないだろう。

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