第17話 水槽の中の少女②

それは、昨日の夜。

案の関係書類を忘れて学校に行ったら、誰もいないはずなのに何処からか鳴き声が聞こえた。

そのせいで相馬は、夜、全然眠れなかったらしい。そのせいでこんな疲れ顔になっているのだとか。

「空耳だろ」

「本当に聞こえたんですって、アニキ」

相馬が必死になって、言っているが俺はオカルトとか信じてないから噓っぽく聞こえる。

「私も聞こえたことがあるわ」

驚いた。光も聞こえたことがあるなんて。

「夜遅くに忘れ物をとりに、学校に入ってすぐ、女の子の泣き声が聞こえたのよ」

真面目な顔をしている光は、嘘をついたことはない。

ここに二人も幽霊の声が聞こえたということは…空耳じゃない。

「先生には聞いてみたのか?」

「聞いてみたわよ。そういえば、なんだかはぐらかされた感じの返事をされたわ。あれは、絶対何か隠している返事だったわ」

光が怪しんでいるこれは…。

「今日の夜、三人で学校に忍び込んで確かめてみましょう」

やっぱりこうなった。光は昔からこうだ。怪しいものは確かめずには、いられないんだ。

「僕は、本当に嫌ですよ」

相馬が本気で嫌がっているが、光は全然聞いていない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る