第16話 番長からの…③

光が家に来る数時間前に遡る。

龍樹が家に来てクッキーを焼いていた。

ピンポーン

インターホンが押されて、出てみると、

「お前が、番長か?」

組長にしか見えない人が立っていた。

「…ひ、人違いかと思います」

すると組長にしか見えない人の後ろから

「嘘をつきなさんな。おぬしからは人の上に立つオーラが出ているぞ」

仙人みたいな爺さんにそう言われた。

嘘なんてついてない。てか、俺いつからそんなオーラが出てる?

とりあえずお引き取り願おうと思ったら、

「お前ら、誰であろうが、先輩になにかよがあるんだったら、先に名を名乗るのが礼儀だろうが!」

いやいいよ、名乗らなくて。てか、龍樹。家の奥に行っといてくれ。

「そいつは、そうだな。俺は、『酒場さかばの会』の組長の志賀しがだ。そして、俺の後ろにいるのが会長の荻田おきたさんだ。単刀直入に言う。俺らの会にはいらねぇか?」

やっぱり組長だった。その組長が俺をスカウトしに来た…。

「ですって、先輩」

いや聞いてたから、わかるよ。

「さすがに急に言われたら嫌じゃろ。お主らが出す、勝負に勝てたら入ってもらっていいかのう?」

このまま帰って来れなさそうだし、そうするしかないな。

「わかりました。では、この桃太郎○鉄で勝負しましょう」

そう言って、俺は桃太郎○鉄を用意した。

この組長と会長は、そんなにゲームをしてなさそうだから、簡単に勝てると思ったんだが、違うかった。

組長はそんなに強くなかったのに会長がめちゃくちゃ強い。

アイテムをしっかり使い、貧乏神をうまいこと俺に付けてくる。

龍樹はゲームがそんなにうまくないみたいで戦力にならない。

そんな時に光が来てくれたんだ。

もし、光が来てくれなかったら、俺の人生若頭だったかもしれない。


「そんなことがあったなんて…。流石は私のライバルね」

流石の光も驚きを隠せない。

「まぁ、そういうことだから。来てくれてありがとう」

俺が、お礼を言うと

「か、感謝しなさいよ。一つ貸しだからね」

光に借りができてしまった。

ちなみに、龍樹はこれが悔しかったみたいで、ゲームをやりこみゲーマーになるのであったが、それはまた別のお話で…。


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