第1話 入学するまで
僕–
常灯高校は、今年出来立てホヤホヤの高校だ。そして、今、日本で注目されている。
理由は、二つある。
一つ目は、特殊な授業割合だ。
一年生の時に、卒業までの授業を詰め込み、二年生から将来に向けての事をするという、事らしい。
二つ目、この二つ目があるから僕は、この高校に受験する事にした。それは、子役で有名な、
言うまでもなく、僕が、小学五年生の時に告白した相手は、子役になる前の桜井さんだ。
テレビで初めて見た時は、びっくりした。
僕は、ジュースを飲みながら、なんとなくテレビを見ていた。
『今日は、子役で有名な、桜井 美希さんにインタビューしていきます。美希さん、よろしくお願いします』
「ぶっ」
飲んでいるジュースを吐きかけた。
桜井さんは、ドラマで子役デビューをしていたのだ。
後で、そのドラマを観たが、桜井さんの演技力は、すごかった。観ていると、本当に泣けてきた。
『すごい、演技でしたね。私もドラマ観ていたんですが、かなり泣いてしまいました。どうやって、あれほどの演技力を身につけたんですか?』
インタビューのおねえさんが、質問する。
『私は、ただ、本当にそんな目に遭っている人がいるかもしれない。あの子は、大丈夫だろうか?など、皆さんにそう思っていただき、それで救える命があればいいな。そう思いながら演技をしていました』
『なるほど、自分の演技を観て、もしかしたら、そう思っていただきたいんですね。その気持ちが演技力に、なっているでしょうか?』
『はい、私は、そう思っています』
真剣に答える桜井さん、その姿に見とれていると、インタビューも終盤に近づいていた。
『えーと。インタビューもこれでおしまいです。最後に桜井さんの方から皆さんに重大報告が、あるですよね。お願いします』
『はい、この場を借りて、報告させていただきます』
番宣かな。そう思っていた。
『この度は、私を応援してくださった、ファンの皆様、ありがとうございます。私、桜井 美希は、来月から活動を中止させていただきます』
「『えっ』」
インタビューのおねえさんと声が被ってしまった。
『理由を聞いても、いいですか?』
『はい。実は来年一年間は、勉強を頑張ろうと思って、活動を中止しようと思いました』
『なるほど、そうですね、桜井さんは、今、中学三年生ですもんね。高校は、どこに受験するか決めました?』
『いえ、推薦で、常灯高校に…』
『常灯高校ですか⁈』
『はい』
『すごいですね。来年、開校の学校に推薦で行けるなんて』
『いえいえ、家族や友人が支えてくれたから、勉強もおろそかにならず、頑張れたんです』
『少し、興奮してしまいましたが、時間がもうないらしいのですので、桜井さん最後に、テレビの前のファンの皆さんに一言お願いします』
『はい。ファンの皆様、学業が落ち着いたら、活動を再開しようと思っていますので、その時まで、温かい目で待っていただけると嬉しいです』
桜井さんの綺麗なお辞儀で、インタビューは、終わった。
このインタビューを観て、常灯高校への受験者が莫大に増えた。
そして、このインタビューを観た僕は、死ぬ気で勉強しようと心に決めた。
朝起きて、勉強。
学校へ行き、勉強。
学校から帰って、勉強
勉強 勉強 勉強 勉強
そんな生活を続けていたら、そんなに良くも悪くもなかった僕の成績は、学校の学年一位まで上り詰めた。
結果、今日の合格発表で、僕は、常灯高校に受かった。
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