幕間 ~初見スレイヤー~

 前回のテーマ『出会いと別れ』はなんとか書けた。

 たしかに微妙に書きづらいテーマではあった。

 でもそれはいつものこと。ツバメの巣立ちというサブテーマが決まってからは、すんなりとラストまでもっていくことができた。しかも書き上げてみればなかなかいい作品になってきたと思う。KACではいつものことだが、後半になるにつれて、北乃家サーガが馴染んでくるのだ。


「悩んでますねぇ、関川さん。書きづらかったですか? 今回のお題」


 そう聞いてくるのはもちろんバーグさん。

 今は朝食を食べているところ。メニューはトーストにベーコンエッグと簡単サラダ。バーグさんはすごく美味しそうに食べている。


 さて次ののテーマは【私だけのヒーロー】とのこと。

 また微妙に書きづらいテーマである。なんと言うか長編向きのテーマというか、いろいろ限定される気がするというか……もちろんバーグさんには言わないけど。


「なんかいい話にならないかなと思ってね。でもなかなかぴったりのエピソードが思いつかないんだ。バーグさんならどんな話を書くのかな?」

「あたしですか? もちろん関川さんがパスワードを解いてくれた時の話にします。なんといっても、あのパスコードが解除されたおかげで今のあたしがあるんですからね。あたしにとっては関川さんがヒーローなんです!」


 くぅぅ、ええやっ!

 バーグちゃん、ホント可愛い答えを返してくれる。

 ラブコメ冥利に尽きるじゃないか。


「あたし、本当に人間になれて良かったと思っているんです。こうして美味しいご飯も食べれるし! そうそう、この卵、ゆうけん先生からの差し入れなんですよ」


 バーグさんはそう言って実においしそうに目玉焼きをひとくちで食べた。

 それから口のはしについた黄身を舌先でペロリと舐めとった。

 そんな仕草がまた可愛い!


 と、ここで一つアイデアを思い付いた。

 前回のシリーズで好評だった『コノハナのシークレットガーデン』ネタがあった。あれならこういうテーマでも書ける気がする。うんうん。これならいけそうだ。前回は中二病全開の難解な詩を現代語に翻訳、という形だった。今回もそんな感じにすれば……


「……行ける」

「なにか思いついたんですね?」

「ああ、なんとか行けそうだ。あのネタならなんとか最後まで行けると思う」

「どのネタですか? もちろん北乃家サーガですよね?」

「ああ。でも答えは読んでのお楽しみかな」


 と。この時は自身たっぷりにそんなセリフを吐いた。


 この時の私は忘れていたのだ。

 前回の中二病の詩を書いた時もすごく苦労したことを。


 とどのつまり、わたしは詩を書いたことがなかったのだ!

 書き方も言葉の選び方もリズムも雰囲気もサッパリ分からないのだ。

 詩というジャンルは高尚な気がして避けていたから。


 それでも走り出したらもう止まれなかった……


 という混乱のままに突っ走って書き上げたのが『シークレットガーデン 再び』である。初見の方には意味不明なところがあるだろうが、これはもう仕方ない。読んでないのが悪いのだ! もう少し詳しく知りたくなったら、前のページをめくってくれればいいのだ!


 と偉そうに書いたりもするのだが、本当は詳しく『前回までのあらすじ』というのを書くべきか悩んでる小心者の私であった……

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