【2話】転生先は最強部族
神様と思わしき金髪美青年に話しを聞いた俺は、何が何だか分からないまま話の続きを聞くことになった。
「つまり、君には異世界に行ってもらい、そこで新たな生を授かる事になったっていう訳だよ」
「なるほど……」
なるほど、異世界か。
……異世界ってなんだ?
宇宙のどこかにある別の惑星の事だろうか。
まあ神様がいるくらいだし、宇宙人が居ても不思議ではないけど。
でもタコみたいな宇宙人になはなりたくないんだけど、そこらへんこの神様はどう考えているんだろうか。
あんまり奇天烈な生物に転生したいとは思えない。
すると、こちらの思考を読み取ったかのようなタイミングで説明が補足される。
「ちなみに、行ってもらう世界には君の想像通り地球にはいないような生態系もあるけど、君が転生するのはあくまでも人型だよ。あんまり魂の形とかけ離れた構造の生物に転生すると、魂が歪になるからね。そこらへんも考慮しての事だ」
「おぉぉ~」
俺はまた人間に生まれ変われるらしい、思わず歓声をあげてしまった。
そして人間に生まれ変われるという事はすなわち、その惑星では人類が生態系を築いているという事だ。
どうやら火星人みたいな姿で一生を終えずに済んだようで、少しほっとする。
「で、どう? 転生する気になってくれたかな。赤子からやり直す事になるけど、転生先は寿命が長いからね、きっと楽しめると思うよ」
「ん? 寿命が長い?」
……はて?
他の動物や虫に比べて、寿命が長い事は人間だからそうなんだろうけど、なぜか言葉に引っかかりを覚える。
「うん、寿命が長いよ。向こうでは地球にはいなかったような強靭な生命体が跋扈しているし、文明も未発達だからね。それに合わせて全体的に生き物としてのレベルが高いんだ。君はその人型種の中でも強力な部族に転生してもらうから、まあ、あまり心配はいらないと思うけどね」
なんと、向こうは人間にかなり厳しい環境らしい。
だが俺は部族としてのヒエラルキーが高い人間みたいだし、生き抜くだけなら問題ないのかもしれない。
文明が未発達な事を考慮に入れても、きっと王族とか貴族とかそんな感じの立ち位置になるのかな?
人間の強さって腕力とかじゃないからね。
「おおよそ事情はつかめました。では、いつ転生すれば?」
「うん、理解頂けたようで何よりだよ。ではさっそく転生させるけど、準備はいいかい?」
そういいつつ、なにやら空中に光の模様を描き始め、俺に最終確認を始めた。
なんだこれ、魔法陣?
ほえー、神様ともなると、やっぱり魔法とか使えちゃうんですかね。
いいなあ、俺も使いたい。
「なんだか魔法みたいですね。それと、準備ならできてますよ」
「あははは。このレベルの魔法は無理かもしれないけど、向こうでなら魔法くらいは簡単に使えるよ。そういう部族だからね。」
「────えっ!?」
えっ、ちょっとまって。
何、異世界って宇宙人とかそういうレベルじゃなくて、ファンタジーの方の異世界だったのか!?
なんだそれ聞いてないぞ、もう少し説明を──。
──そう質問しようと口を動かした時、突然俺の思考はぷっつりと途絶えた。
「──それじゃ、君の人生に幸多からんことを」
──☆☆☆──
はい、無事転生しました。
ちなみに転生してから3年が経ちます。
いやぁ、異世界すごいわ、気づいたらベットの上で、頭の横から角の生えた超絶イケメンの男と、目が真っ赤な金髪美女に囲まれていたんだからね。
ちなみにその時は迷わずギャン泣きした。
あとから両親だと知った時は、心の中で謝罪したくらいの盛大なギャン泣きだ。
だってしょうがないじゃない、最初は見た目でモンスターかなにかだと思ったし、知らない言葉で話しかけられていてもたっても居られなくなったんだもの。
聞いた話だと赤ん坊に転生するっていってたし、きっと小さな体に引きずられていたのだろう。
まあここは地球じゃないんだし、人間が色んな進化を遂げていてもなんら不思議ではないのは分かっていた事なんだけどもね。
他には肌が緑の人間とか、半分透けている人間とかもいるから、このくらいは普通の世界なんだろう。
そんな感じで色々な人種がいるこの世界での俺はというと、これまた結構突拍子もない恰好……、という訳でもなく、なんと目が赤いだけのただの幼児だ。
母さんの部屋に立てかけられている金属の鏡で見た。
どうやら俺は母さんの血を濃く受け継いだらしく、角などが生える様子はこれっぽっちもない。
将来的にどうなるかは分からないが、元々日本人である俺からしたら角が生えるのは違和感しかないので、これも神様が言っていた魂が歪にならないようにという配慮の結果なのだろう。
まあ父さんが銀髪で俺も銀髪なので、父さんの血は間違いなく混ざっているだろう。
神様といえば、この世界に転生するまえに強い部族に生まれ変わるっていっていたけど、アレはマジだった、そのまんまの意味で。
そう、人間としてのヒエラルキー的にというより、生物としての強さ的な意味でという事でだ。
どうやらこの家はヴラー村と言われる開拓村の村長、いわば領主であるアマイモン家というらしい。
アマイモン家はこのヴラー村に訪れる盗賊との小競り合いや、人間種を脅かす強力な動物、魔物なんかへの防波堤となっているらしい。
もちろんそんな開拓村のトップだからこそ、アマイモン家当主であるウルベルト・アマイモン父さんの戦闘力はすさまじく、その身体能力はもはや異常としか表現しようがない。
拳で岩を爆砕するわ、全てが鉄で出来た超重量の巨大な剣を「これでは訓練にならんな」とかいいながら、さらに剣に重りをつけて素振りを始めるのである。
それも肉眼でとらえられないレベルの速度で。
おそらく3歳の俺が父に勝負を挑めば、正面からの素振りの風圧だけで吹き飛ぶ自信がある。
元々この村は国の騎士であった父さんが褒美に受け取った領地だそうなので、領主というよりは村での役割も傭兵みたいなのに近い所がある。
さらに我らが母さんこと、ベルニーニ・アマイモン母さんだが、こちらはヒエラルキーという意味で偉大だ。
元はどこかのお偉いさんの娘だったらしく、なんでも他大陸から攻めて来たとかいう他国最強の侵略者パーティーを撃退した父への褒賞の一つとして、ウチに嫁いできたらしいのだ。
父とは小さい頃から見知った仲だったらしいから、きっとこの時代にしては珍しい恋愛結婚だったのだろう。
このお話しはこの国だけではなく、父の圧倒的な活躍は近隣諸国にも既に伝説として伝わっているらしい。
まあ父が一人で侵略者を倒したわけではなく、他の仲間と数名で納めた結果らしいから、他にも凄いのはいるらしいんだけどね。
この国の四天王って呼ばれているらしい。
そして現在、俺ことアマイモン家の男、ルーケイド・アマイモンはそんな父に一歩でも近づくべく、日々鍛錬中という訳だ。
「えっほ、えっほ、えっほ。……よっし、腕立て伏せ500回終わりぃ!」
そう、3歳児が腕立て500回である、異常だ。
何を隠そうあのウルベルト父さんの息子だからね、この体もチートスペックという事なんだろう。
父さんと違って俺に角は生えてないけど、それでも肉体能力は神様のお墨付きというやつだ。
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