#47 決着
俺は……
俺は、俺は……ミアが……ミアの事が…
「シロの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁっ!!!!」
や、やばっ!?
頭上からメテオストライクが!? し、しかもちゃんとしたやつだ! 石つぶてじゃない!
だが俺は手を放せる状態では……しかも片手だ……もはや痛みは麻痺しているが……
どうする、どうする……どうする……
押し返すしか……
「ぬおぉぉっ!!」
俺は渾身の力を持ってミアを地面に向かって押し返していく。ミアの力が数段上がっているにしろ俺だって伊達にLV90ではない。
一気に押し返し地面に落ちた俺達は勢い余って丘の坂道を転がる。ミアのメテオが上の方で落ちたみたいで、鼓膜を揺らすような地響きが轟く。
俺達はそのまま坂道を転げ落ちる。
やがて丘の麓まで転がっていった俺とミアの身体はお互い別々の方向へ滑り砂埃を立てた。
痛む身体で起き上がると、ミアもフラリと起き上がり俺をじっと見据えていた。背中の翼は消えて、黒い瘴気も薄れている。どうやらかなりのダメージを負っているようだ。
肩で息をする姿を見てもわかる。ミアのHPはそれでも半分以上か……かなりパワーアップしているみたいだ。
リジェネのおかげでダメージを回復できる分、若干は有利か。とはいえ、片腕がないとなると……やっぱ、不利、だよな。
「はぁっ……はぁ……」
くそ、ミアのやつ、まだやる気か……流石にこっちも限界だぞ……腕の痛みもぶり返してきた。
……
「うぅっ……」
ミア……泣いて……るの、か?
大粒の涙が地面を濡らしていく。ミアはその濡れた地面に両膝をついては声を上げる。
その姿は、親に怒られて泣きわめく子供のようだ。ただひたすら、大声で泣いている。
「やっぱり……やっぱり出来ないし……うっ……やっぱり出来ないシロを殺すなんて……
シロと闘うなんてやっぱり無理……」
「……俺だって……」
「……シロ?」
俺は涙に濡れたミアの瞳を見る。
「俺も嫌だ、俺はお前のこと……」
「わ、私の……こと……?」
「俺はミアのことが……す……」
言葉を遮ったのは、
暴発したホースから激しく液体が噴き出したかのような噴射音……
何が起きた? 何故、こうなった?
何故、ミアの身体を、その剣が貫いた?
何故、その黄金に輝く剣が、ミアを刺した?
何故、コイツが、ミアを?
何故、なぜ? 何故だ!? 何故お前が、
ナゼオマエガ、ココニイル……?
……
第二皇子、ルーファス=クロスレイ、
何故お前が……ここにいる?
「……こたえろ……」
「……シ、……ろ?」
ミアの声は今にも消えそうで……
「こたえろ……」
消えてしまいそうで……
「クク……」
ルーファスは貫いた剣を抜きミアの身体から魔女の魂を抜きとると、蹌踉めくミアの身体を俺の目の前に蹴り飛ばした。
輝く銀色の髪が風に舞い、溶けるように消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます