32話 迎合
学校に着いた僕はいつも通り、駐輪場に自転車を置いてから昇降口で靴を脱ぎお気に入りのアディダスのスタンスミスをコンという音を立てて下駄箱に入れた。
今日は6月27日の現在6:22分で朝練をやっているところの野球部とバスケ部に陸上部の声以外ここには聞こえてこない。
上履きに履き替えて、教室を目指す。うちの学校は1階が3年で二階が1年3階が2年で北南と二つの校舎にわかれている。北校舎が今上げた生徒達の教室がある校舎で、南は理科室や家庭科室に音楽室と言った移動教室がある。職員室も南だ。
昇降口は南と北の間にあり、入学式の会場の体育館は昇降口の正面にある正門から見て左右にある。だから昇降口から見ても左右にある。表現が難しいな…
3階に行くために、コンコンと足音を鳴らしながら階段を上っていく。
一頻り上って3階に着いた僕は階段を上って一番手前にある1組の教室に前と後ろのドアがある中で後ろのドアから入っていく。席順は横に8列、縦に4列になっていて僕は6列目の一番後ろの席の机にリュックと鞄をドスンと落とす。
「当たり前だけどこの時間に来る人は居ないよな」
その証拠にこの言葉に反応するクラスメイトもいない。2年の廊下もシーンとしていて3階にいても届くバスケ部達の高い声がなければ世界に一人だけと錯覚しても可笑しくないほどに静かだった。
鞄の中から今日の分の三教科を取り出し机の中に入れる。それと家から持ってきた今読んでいる、村上春樹さん作のノルウェイの森を机の上に置く。
鞄とリュックをロッカーに仕舞ったら僕はトントンと足音を立ててまた階段を降りて行った。下に降りて行った理由は職員室前にある、配布物などが入ってる物があってそこに配布物を取りに行くからだった。
南校舎側の職員室の前についた僕は自分クラスが表明されているファイルから目的の配布物を取り出してまた教室に戻った。
そのままトントンと足音を立てながら階段に差し掛かったところで背中に声が掛けられた。
「あの、えっと。おはよう…来るの早いんだね」
「ああ、今日はね。そっちは?って朝練か。お疲れ様だよ」
声を掛けてきたのは雪島祐奈で、汗をかいたからかワイシャツが張り付いていた。
「ありがとう。今日は早く切り上げたんだ。もう朝からヘトヘトだよ」
「つくづく思うけど、よくそんな毎日早く起きれるよね。僕は野球部とかの朝の飛ばしぷっりを見ると恐怖が全身に走って部活に入る気がなくなるよ」
なんせ、朝から1キロもある学校の回りを外周してるんだ。僕にはできてもやりたくないと断固誇示するね。
「まぁ、あれは流石にほかの部活の人もヤバいやばい言ってるからね。私も同感」
「だろうねー。ま、ここで話しててもあれだし階段上るか」
「そうだね」
そして片手にお便りなどの紙を持つ僕とリュックに鞄を持ってる祐奈は階段を上ったはいいが取り敢えず重そうに鞄を持つ祐奈から簡単に鞄だけをひったくた。
「疲れてるだろうから、教室まで僕が盗んでおくよ」
「どうも。あ、ポツポツと昇降口に入ってくる人がいる。あんまりこんな早くにこの階段を上ることないから意外とこの時間帯に登校してくる人もいることなんて全然私知らなかった」
「まぁ、そうだろうね。体育館で頑張って汗水垂らして一生懸命練習してたらそりゃ気づかないよ」
階段に強化ガラスがはめ込んでありこれは自殺対策と公に言っていたのを思い出す。
それに、校舎の中にある階段部分は全部はみ出していて、外からははっきりと階段の全貌が見える形になっている。床がガラスを仕切っているだけで外からは本当に丸見え状態だ。
「柚和君は今日どうしてこんなに早く来たの?」
「まぁ、一概に勉強とだけ言っておくよ」
意図を含むような言い方をしてしまったが裏には何にもない。
「ひゃー、私的にはそっちの方が無理だよ。朝から勉強とか眠くなるよー」
「眠くなるのは部活も一緒だろ」
「部活はアドレナリンドバドバ出てるから大丈夫なの!普通にドリブルとブロックの掛け合いの練習してみなよ。すぐに眠気なんて飛ぶよ」
「因みに今は?」
「勿論!眠いよ」
まぁ、学校は大体の人が眠い眠い言うからな。学校で言われる言葉第2位くらいじゃないかぐらいいろんなところから眠いと聞こえてくる。
言わなくても表情がもうやる気のないパンダみたいな奴しかいない。
まぁ、朝から熱血で熱い人とは関わり合いたくないけど。
「ほれ、着いたぞ。要は済んだ。盗んだものは返してやろう」
ドンっと重たい鞄を祐奈の席の机に載せて僕は退場する。
「ありがとね。助かったよ!また持ってくれてもいいんだよ?」
「その場合は料金が発生するからな」
「安くお願いね」
払うのかよ、と心の中で突っ込んだのは心のうちに秘めておこう。
「了解」
そう言って僕も隣の席に腰を下ろす。
「ホントに誰も来てないね…でもそろそろ男バス、女バスの人達が来そうな気配するけどまだこの静けさのままでもいいかな」
「それには僕も同感。静かなうちにやることを片付けたい」
そう言って、何も書いてないノートに英語の教材と筆箱を机の上に広げる。筆箱からペンを取り出してノートにツラツラと書いていく。
「確か…そのシャーペンってクルトガって言うんだっけ?」
「そうなの?そもそも初耳だよ。なんとかスマッシュっていうのを知ってる位」
「逆に私はスマッシュを知らなーい。ま、いいや勉強するの?」
「勉強っちゃ勉強だけど…あ、人が来た」
そう言って僕は急に会話は切り上げて人がボトボトと登校してくるようになったので静かにそのまま何も言わずに問題を練り上げ行く。
僕は英語で自分の自己紹介を書いていた。これを杏菜さんに見せて読解させるというのが狙いだ。わからないところは辞書と僕から辞書も献呈してある。
My name is yuwa kisakawa.I like books.Read anything books.I especially like
Agatha Christie's book.These are very profound.I like The ABC Murders the
best amongst all of them.
と一頻り書き終えてペンを置いた。amongst allは(その中)という意味でそこにofとthemが来たから(その中でも)という意味に変わる。これがわかればなんとなく後は翻訳できるだろう。
「はぁ…本でも読も」
ポツリと口から溢れたその言葉は疲れを滲ませていた。
それからずっと読書に夢中になっていた。
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