ドこデもドアがこの世界で完成しました
悠希希
第1話
「さあ、行くか」
俺は、目の前にある扉を眺める。薄桃色の扉だ。この扉は、どこにでも行くことが出来る扉。正式名称は、
通称『ドこデもドア』と呼ばれている。
全く誰が考えたのか知らないが、上手いこと考えるものだ。……ああ、少し待ってくれ。俺がこの扉に潜るに至った経緯を皆には、知ってもらわなければならない。なあに、そんな時間は取らせないさ。
まずこの世界の現状だ。
世界に溢れていた仕事の山は、機械たちが全て片付けるようになった。人間たちに残されたのは、機械の面倒を見ること。あとは
その『ドこデもドア』は、一度使うのにとんでもないエネルギーが必要らしく上級市民のみ使うことを許されている。
ああ、言いたいことは分かる。中級市民の俺がなぜそれを潜ることになったかと言うと、数日前にこの扉を潜ったからだ──。
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