イデアエフェクト・リベンジ 燃え尽き教官と地方教育
福本丸太
養成学校編
プロローグ
世界的な脅威に世界が一丸となって戦う。そんな物語のような出来事が十年前に起きた。
他の生物とは根本から異なる〝怪物〟については歴史上、海から現れる人類の敵として度々記録されていた。その出所として語られる〝魔の島〟については空想でしかなく、造船及び遠洋の航海技術が未熟な頃からまことしやかに囁かれていた。そしてそれが真実であると、人類は宇宙を目指し始めた頃にようやく知った。
そこは絶海の果て。人から最も遠い地上。伝説というのはふしぎなもので、噂される中にあった〝魔王〟さえ真実として確認された。怪物と直に接した経験がなければ信じられないようなたわけた話だ。
だが人類は絵空事を更に飛躍させる。
治安と海岸線の防護を限界まで削り連合軍を結成。船舶と航空機を可能な限り投入し魔の島を徹底包囲。すべての怪物と魔王を撃滅。最後に発見された〝異界への門〟も閉ざすに至る。誰もが称え、誰もが誇る見事な戦果だ。
そしてその戦線の最前列には超常の力を操る四人の若者がいたというから、それはもう完璧な冒険物語で英雄譚だった。
劇的に訪れた平和。ところがそれが長く続くものとは、誰も想像しなかった。
かつてない大規模な〝戦争〟は産業を生み、技術を育てた。それがどういう類のものであろうと人類は得たものを捨てられない。英雄となった若者たちの超常的な力も体系化され新技術となり、それに牽引されるようにして通常の文明も急発展した。
以前とは比較にならないほど強力に生まれ変わった戦力を抱え、共通の敵を失うことで何が起こるか。このままでは遠くない未来、怪物を滅ぼした力を自分たちに向けてしまうことはわかり切っている。
必要となるのは行き場の無い力を安全に発散する手段。社会は急ぎ、戦争を競技化する必要があった。
そうして生まれたのが
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