見つからない落とし所と交わらない平行線

@harukoku

第1話

花を見ていた。風に揺れる花を見ていた。

毎日通るその道に、ぽつんと咲いてる。

風に揺られて気持ちいいかしら、雨に打たれてもめげないのね、今日は暖かい光をたくさん浴びて嬉しそう。

だから私も頑張らなくちゃ。

きっと誰しもそう思う、励まされる。

それはいつしか日課になった。

優しい気持ちになれると思って、毎日見た。

この花のようになりたかった。

優しい気持ちで居たかった。


踏まれても立ち上がって、風に弄ばれても笑って、雨が花弁を散らそうとも恵みだと感謝し、枯れると知りながら光を浴びれば咲くより他ない。

期待と慰めの重さで首をもたげる花を見て、思わず手折ってやりたくなる。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

見つからない落とし所と交わらない平行線 @harukoku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る