心の移り変わり〜思春期から理解されない私の生き様〜

@IZUMI201

第1話

イジメがクラスで行われていた時、アナタは「やめなよ」と言えますか。


先生に「○山さんがイジメられてる、男子を止めてください」とチクリに行けますか。


行ければアナタは心が純粋で、本物の強さを持っている。

何も問題なく、心が訴える正義感を信じ心の声を聞いて動いても誰からも嫌われないことでしょう。



残念ながら主人公、倫子(トモコ)にそんな勇気も正義感もなかった。


イジメられる○山さんを気にしつつ、庇ったら自分も同じことを言われる…その恐怖が強かった。黙ることしか出来なかったのだ。


○山さんが標的にされた最初のキッカケは、倫子もその場にいたので把握していた。


図書室での学習の時間、ナゾナゾと称し

「硬いものをこすると白いものが出る、これってなーんだ」

と突然ぶっ込んで来たのだ。


中2になったばかりの思春期男子にウケるナゾナゾなのだと思ったのだろうが、突然割り込んで来た他の班の女子に、全員が凍りつき笑いも答えた出なかった。


○山さんはそれに気づかず「正解は消しゴムでしたぁ、あはは」と自分の班に帰っていった。


数人から「あいつのあのノリ、ウゼエしキモい」「突然来たな、キモ」そんな声は倫子にも聞こえた。


その数日後には一部のクラスの男子が○山さん弄りというよりは、イジメを始めた。

派手なモテる系女子も「もー、何やってんのよ!」と笑いながら広まっていった。


真面目なおとなしい男子は何も言わずに静観。

おとなしい女子は○山さんの心配をしつつも、誰1人何も発しなかった。


倫子はその間にいた。

派手なグループとも話していたし、

○山さんとは小学校からの付き合い。


ただ、小学校から時々変わった事をする子で倫子も他のクラスメイトも困ったりすることは多々あった。


倫子は声も大きく、成績も良かった。

顔は格別可愛くもなく、中途半端に目立つタイプだった。


クラス全員の前で「そういうのはやめようよ!」と言えるほどのカリスマ性は無かった。


倫子は静観することを選んだ。

○山さんからも言われたのだ。

「私に声かけると、仲良いと思われるよ!私は大丈夫だから!」と。


○山さんの言葉に困惑したが、男子も女子も、調子に乗ってるだけだと思った。

数日もすれば違うものに興味が移り、○山さん弄りは止まると思っていた。







まさか卒業までの丸2年、同じメンバーが○山さん弄り、いやイジメを続けるとは、この時は思っていなかった。

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