見下す心に憑りつかれたのが、日本経済「長期低迷」の主因では?


 日本の景気については、政治家、官僚、識者の間で様々な見解があるのでしょうが、私の心象では20余年もの間、ずっと低迷しているイメージです。


……ハッキリ言って、ずっと不景気です。


 不景気しか知らない10代20代の人なんて、どんな気持ちで日々精進されているのでしょうか? 諦めの境地なのか、それとも、自分たちの世代が日本を甦らせるぞと青い炎を燃やしているのか?


 中・高生の子たちに対し、学校がどんな情操教育をしているのか、一度見てみたいもんですねぇ。



 現政権のアベノミクスにおいても、第三の矢と言われる「成長戦略」が一番ぼやけています。


 成長戦略というのは、小泉政権で「骨太の方針」が出されて以降、次の政権、次の政権と毎回必ず打ち出されてはいますが、軌道に乗ったと言えるものは1つもありません!


1つもです!



 その手のことを決める会議は、議長は首相がやるとして、

民間からはどんな人がメンバーになるものなんでしょうか?

 「あっちの会議と同じ人がまた入っている!」みたいなことはないと信じたいのですが……。



 同じ人ではないにしても、同じ種類の人間しかその手の会議に参加していないのではないか?

という疑惑を私は持っています。



 それが、ずばり 上から目線の人間、他人を見下す立場にいる人間 です。



 日銀は現在、異次元の量的質的金融緩和 をおこなっています。


 その内容からは、長らくつづくデフレからの脱却、景気低迷からの脱却を果たすためには、これくらいのことをやらないといけないという強い意志が感じられます。



 一方で、第三の矢を任された安倍政権はというと、相変わらず「○○会議」(議長:安倍首相)というものを首相官邸でいくつも開催し、スピード感の感じられない審議に終始していて……

まったく 異次元 が感じられません!


 ネットニュース等々を見る限り、民間代表で会議に参加する有識者たちの声は、今も昔も、「○○に問題があるから、政府でなんとか対応を考えてください」と問題提起をするものばかり。


 テレ東系の経済番組にゲストで出ている人なんかが、その手の会議によく出ている印象ですが、コメントを聞いてる限り、どの人もアイデアを出す人というより、添削をする人という感じです。


 この手の人が文献を読んだ知識をもとに発言するアイデアなんて、レジュメを書く官僚の皆さん方なら、「それくらいのことは、聞かずとも思いつきますよ」という感じのものばかりでは?と想像します。



 そんなのはアイデアに含まれないはずなんですが。そういう脳の人が求められがちなんですよね。



 ……政府は、何故アイデアをもってそうな人を会議に呼ぶという発想にならないのでしょうか。



 ちなみに、政府がおこなう重要会議と言えば、「経済財政諮問会議」や

「未来投資会議」 なんかが思い浮かびますが。(2016年10月現在)


 経済財政諮問会議は、総理、副総理、官房長官、経済閣僚3人、そして黒田日銀総裁、伊藤元重 東大教授、榊原定征 経団連会長、高橋進 日本総研理事長、新浪剛史サントリー社長がメンバー。

 未来投資会議は、総理、副総理、官房長官、経済閣僚5人、文科大臣、そして金丸恭文フューチャー会長兼社長、五神真 東大総長、榊原定征 経団連会長、竹中平蔵教授、中西宏明 日立会長、南場智子ディー・エヌ・エー会長がメンバー。

です。



 ビッグネーム揃いだ!ということは言うまでもないですが、

逆に言うと、何かを生み出すのに集められた有識者というよりは、他の誰かがひねり出した案を自らの知識と経験を裏づけに合否判定する審査員のような人しかいない印象を持ちます。


 このランクの人はすでに成功者であることが確定しており、他のメンバーの意向を押しのけてまで頑として自説を押しとおす情熱をもってる感じがしません。あえて冒険する必要もないですし。


 むしろ、ヘタなことを言って、「それをやろう」ってなった場合に、

それが失敗すれば晩節をけがすことになりかねないと考え、警戒して黙るという可能性も……?


 ゆとり教育を提唱した人なんて、いまだに陰口を叩かれてますからね。


 同じ轍は踏まないぞと考える人がいても、我々はその人を責められません。

それがたとえ、国の未来を左右する重要会議のメンバーであっても、です!



 だからこそ、こういう重要会議に出てもらうべき人は、もう少し若く、まだ野心を持ってる人、50年後の日本や世界を、おぼろげでもイメージできている人が適任な気がします。


 そして、そういう人が5、6人程度集まって激論を戦わせることで、


「考えが変わった! こうしたほうがもっと凄いことになる」 と突然変異のように生まれたアイデア!


 そういったアイデアたちが未来の日本を照らす 光 になるのではと。そう思えてならないです。


 上記のメンバーの場合、「50年後? それは後輩たちが考えればいい」って思ってる人が何人もいそうで、残念ながら適任とは思えません。もちろんこんなのは私個人の浅はかな意見、です。



 唯一、新浪社長だけは熱を感じる人ですが、氏は先日の経済財政諮問会議で 賃上げの必要性を訴えていましたが、榊原経団連会長が会議後の会見でそれを打ち消していて、結局、新浪社長の主張はサントリー単独の賃上げ表明であり、心意気 という侘しいことになっており、若輩者の勝手にはさせん!ってところで、上から目線の感じ、見下している感じ が私にはしました。 睨みをきかしたってことですかね?



 50年後の未来なんて考えてもいないという年長者の集まりですから、過去にさかのぼり、景気が良かった頃の日本はどうだったかをベースに議論が進んでいくのはごく自然でしょう。


 実際、1980年代までの「国民総中流」と言われる時代は、日本の景気は右肩上がりでしたし。



 だからこそ、政府の目指すべきところは「国民総中流への回帰」なんでしょうが。私は、国がそっちを目指すことを心情的に許せない人たちが、政府の内外に多数いる気がして仕方ないです。

 日本経済が右肩下がりになると想定している人たちが、現在、上流階級だとしたら、己が日本人全体のなかで相対的に金持ち層に位置し続けるために、当然、他人の足を引っ張るでしょうし、日本が成り上がり者の生まれにくい社会でありつづけることを望むでしょう。



 彼ら 他人を見下す人間 たちが名誉欲、権力欲を追い求める限り、

見下される側の人間の絶対数は、増えることはあっても、減るというのはちょっと考えづらいです。


 国民総中流を目指すなら、まずは政財界の上層部の人が同じ方向を向くべきです。

そしてそれを復活させたいのなら、一丁目一番地でやるべきことは、何が、誰が、国民総中流を壊し、格差社会へと導いたのかを総括することでしょう!


 そこをせずに複雑に絡まった不景気の要因を解くことはできないと思います。



 例えば、政治家や有識者の一部に、「物の豊かさよりも、心の豊かさを!」 と

主張する人たちがいますが、私はあれも怪しいと思っています。


 ああいうことを言う人の多くが金銭的に恵まれてる人であることは無視できない事実です。

 「物の豊かさは私たちのものだから、あなた方は別のところに豊かさを求めなさい」という、ある種の 見下した感情 が根底にあって言っているようにも、私には聞こえます。


 もちろん、人間1人1人が、心の豊かさを求めること自体は正しいのですが、

何をもって「心の豊かさ」となるのかが1人1人の頭の中で違っているわけですから、そこを求めよ!という主張は、そもそも他人から言われてするような類のものでなく、的外れです。


 ブータンが理想って説も、私にはハテナです。あの手の国が幸福感を感じているのも、結局は、格差があまりなく、見下されていると日常的に感じている国民が少ないからなのでしょう。


 見下す側の人間に見下される側の気持ちなんて分からないのですから、

「見下されてる側にとっての心の豊かさ」の定義なんて、彼らに考えつくわけがないのです。



 日本の輸出産業全体に共通して言えることですが。

まるでお金を持ってる人たちだけしか顧客として見ていないかのように、

低燃費(低消費電力)とか、エコを主張しすぎです!



 こういう謳い文句は、そこそこお金のある中年とか年配には響きますが、

20代前半の若者やギリギリで生活している人に響く言葉とも思えません。

 なのに、そこばかりに注力したために、日本の自動車会社が作る自動車には

「余裕のある大人が乗る乗り物」 という、得しないイメージが刷り込まれていきました。


 どの会社にも若い社員がいるだろうに、なぜそこを上層部に指摘しなかったのか? 若い層はメインの購買層ではなくなったから、発言もさせない、とかあったんでしょうか?




 かつての高度経済成長期で、国民総中流であった時代は「車を買いたい」という意欲のある人も多く、「車を買える人」もたくさんいました。ところが、そんな時代が永遠につづくわけもなく、ついにバブルがはじけたわけです。バブルがはじけると、車を短い年月で買い換える人が減り、複数台持ちの人も減っていったので、円高進行もあいまって業績が悪化した自動車会社は工場の海外移転と、社員数の削減、非正規雇用への随時切り替えなどをしていくようになりました。


 そんな状態が、現在に至るまで20余年つづいているわけです。


 その間の自動車会社の努力と言えば、今でこそ「燃料電池車」「自動運転」「コネクティッド・カー」などという言葉も聞こえはじめましたが、

「デザイン性の向上」「エコ(低公害化)」「低燃費化(軽量化)」くらいしかやってこなった時期がしばらくつづきましたよね? ……それが良くなかった。



 中国を見てください! あそこの国は排ガス垂れ流し状態で空も煙だらけなのに、街の工場経営者も、中国国内の自動車会社も「低公害化」などまったく眼中にありません!


 中国共産党には敬意を示しつつも、ほぼ全員が

「改善したいなら、動くべきはまず国だろ!」って考えを隠しもしません。



 このような中国人のエゴむき出しな状況を間近でみていて、一方で日本人はモラルが行き届いていて、安月給で下流に甘んじている層に至るまで、エコ意識が高く、ランニングコストをちゃんと考えてやや割高な商品を常に買っている……などという 誤った思い込み を、よくもまあ、長々と持ちつづけたもんです。



 日本はすでに、あらゆる産業で非正規雇用が増え、正社員であること自体が特権階級になりつつあります。正社員数減でコストダウンになったのは会社側の狙い通りとして、非正規の人に会社の存亡はとても委ねられないわけですから、より少ない数の脳みそで会社を存続・発展させるための知恵を絞らなければならないようになったのです。



 シャープ、東芝、三菱自動車、……etc。


 日本の企業が、この事実をあまりにも軽視しすぎた結果がこれなんじゃないでしょうか。



 さらに懸念されるのは、すでに非正規雇用の人が日本の全就業者の多数派を占めているのに、そこを狙った爆発的ヒット商品が生み出されていないこと!



 考えたくないですが、企業の中央研究所みたいなところで働くエリート層のあいだで、「非正規とかで働く人が買いそうな安い商品を自分が考えないといけないんですか? そういうのって他の人がすることでしょ!」なんて主張が当たり前のようになっていたとしたら、日本はどうなっていくのでしょうか?


 過半数が下流の現代日本で、多数派層に売れそうな商品を、企業の頭脳が作りたくないと思っているとしたら……。 見下す心 が企業を潰しかねません。



 そこで、私は 株式投資家、FX投資家をもっと育てるべきだ という考えに帰結しました。



 日本において、長らく冷遇されてきた投資家の立場をもっと向上させるのです。


 そのためにも、兼業投資家の就業時間中に投資はできないことと、専業投資家の賃貸マンションが借りづらく、分譲マンションを買いづらい状況を改善していくべきです。



 兼業投資家の投資にかけられる時間を増やせば、それだけ株長者が誕生しやすくなりますし、専業投資家の衣食住の住を豊かにできるように国がバックアップすれば、次は自動車なり、その部屋にふさわしい高額の家電や家具へと購入意欲は増していきます。


 今は、UR賃貸など限られたところでしか借りづらく、かつURにおいても、通帳などを提示することがMUSTだそうですが、そういうのは、いくらでも簡素化できるはずなんです。


 例えば、「年平均いくらの資産が☆☆さんの口座には入っています」ということを証明する提出書類を証券会社に申し込めばすぐに送付してくれるシステムにすればいいだけです。


 銀行通帳の口座番号も、証券口座の口座番号も、本来、知られたくない情報なはずで、そこへの配慮はあってしかるべきです。



 10年ちょっと前の段階でなら、自動車各社が若者向けの格安なスポーツカーを販売して、非正規雇用の人でも買って楽しめる嗜好品としての車を定着させるべきだ!と言えました。


 1台買えば、車の良さは認知されます。そうすれば、自動車各社の業績も上がり、業績が上がることで、非正規から正規雇用へと転換がはかられる世の中となり、その人たちが2台目、3台目として各社の主力車種を買ってくれる新たな層へとなり得たのです。



 しかし、今やカッコいい車に乗る男子がモテる時代は終焉し、SNSで男女が交流するという文化が定着! 「車? 別に」と平然と言ってのける若い世代が完全にでき上がってしまいました。


 若いうちから、スポーツカーで走りを楽しんできた層と比べ、1台目がファミリーカーの人のほうが買い替えへのハードルは高いと思います。


 30代より20代、20代より10代のほうが少子化になっている現状で、30代までもSNSにとられているのは痛手でしょう。


 重大な戦略ミスだったのでは?



 「日本の製品は中流階級に強い」という幻想にいつまでも引きずられ、商品ラインナップを同程度に維持しつづけたのがいけなかった……。


 日本の中流階級など、すでに少数派と化している上に、非正規雇用の人にとって、

自動車は「何年もかけて貯蓄をしてまで買いたいもの」とはなれなかった……。



 日本の政財界の中枢の人たちは、「日本の製品は中流階級に強い」 のではなく、「日本の製品は 小金持ち に強い」 というのが現在の状況であると早く気づくべきです。



 今となっては、円安で海外売上が伸びることを第一目標に、国内販売については株式投資家、FX投資家をもっと育てて、彼ら、新しい小金持ち層に買ってもらうしかないです。



 もはや格差をなくせ!などという言葉が正義となる状況でもありません……。



 ちなみに私は悲観論者ではありません!



 政府のかじ取りさえ間違えなければ、日本はここから盛り返すと信じています。

私が上記で書いたのようなことを踏まえ、第4次産業革命の波に乗って、

GDPを大幅UPさせていける日本国であれば!



 カギを握るのは、購買意欲自体が下がっている若者層と、

「最近のモノは使い方が分からん! 機能が多すぎる」とお嘆きの高齢者に、

どうやって買ってもらえるか、です。


 「息子、娘に使い方を教えてもらえ!」ではそのメーカーのファンは増えません。メーカーが消費者を見下していて、大ヒット商品が生まれるわけがないのです。



 我々日本人が、アメリカ大統領選挙において、トランプだけでなくヒラリーのほうも警戒してしまうのは、ヒラリーは日本を見下している気がする からではないですか?



 そういう意味で、日本人なら、どんな偉い人でも、ホントは見下されている側の気持ちに立って物事が考えられるのです。なのに、まったくそれをしてこなかったからイカンのです!


 ちょっと想像したら、自分が他人を見下してる時に、相手がどう思っているか想像がつくってもんでしょう! 見下す行為は見下される側の気力を奪います。

見下すことがどれだけ景気浮揚にとってマイナスかってことです。



 日本人がビジネスにおいて強みだったのは、謙虚 であること!



 日本人は今一度そこを思い出すべきなんです。

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