経済大国ニッポン復活への私見3篇
くねべてかち
家電大国ニッポン復活のため、賃貸住宅の大改革を!
問) 情報番組や雑誌で大々的に取り上げられている大評判の新型家電。
あなたは買いますか? 買いませんか?
Aさん) ぜひ買いたいです。
Bさん) いや、買わないですね。
日本の社会ってBさんに冷たくありませんか? けど、BさんにはBさんの都合があるんです。
……例えば、
「あんなの高くて買えないよ。ウチにあれば絶対に使う家電なんだけどねぇ」
「アレ、良いですよね。でも、家が狭くて置くとこが無いんですよね」
「欲しいけど、嫁がね、うるさくて。『子供が小さいのに、何考えてんの!』って言うんだよ」
「ウチのワンルームは、隣との壁が薄いから、音がね……。うるさいと隣とまたモメるから」
「アレって、動かしてる間、ずっとブーンって音とか振動がするんだよね?
下の部屋から苦情が来そうだなあ。欲しいけどムリかなあ」
などなど。
売る側は「買う人」と「買わない人」の2種類しかいないと決めつけていそうですが、実際は、買える環境であれば買いたいと思っている人も結構いるのです。
そこをなんとかすることで、消費者に買ってもらえるようになれば、個人消費を伸ばすという景気対策の1つの大きな推進力となると思うのですが。やっぱり国家の上のほうにいらっしゃる方とか、大手企業の経営陣に加わってる方々は、Bさんを無視しますかね?
昔の日本では、風呂なし4畳半とかに住んでた若者が、
自分の部屋がああだ、こうだと愚痴った時に、大人の人はこう言ったんですよね?
「なら、もっと頑張れ! 頑張って稼いでもっと良い家に引っ越せ!」 と。
頑張れば何とかなった時代ならそれで良かったですが、今はもうそんな良いときの日本じゃないんです。ワンルームマンションが終の棲家になるって人が今後、増える一方な気がしませんか?
え? 負け組がどうなろうと興味ないですか?
今でもそういう愚痴を言ってる後輩には、あいかわらず 「頑張ってもっと良い家に引っ越せ!」と言ってるんですか?
思えば、モノが売れた時代は、イノベーションが感じられる商品を次々と目にしてワクワクしたものでした。
が、近年は車も家電もマイナーチェンジばかりで、
興味をもつのは中流層以上の人、実際に買い替えに走るのは小金持ち以上ってものばかりなんですよね。
田舎ゆえに1人1台車が必要って場合も、若い層に売れているのは、低価格重視で軽自動車ですし。
例えば、4Kテレビなんかも、買えば今のテレビとの違いが感じられ、十分満足できるものなのでしょうが、自宅に客が来た際に自慢できるほどの違いはないんじゃないかな?って想像します。
有機ELディスプレイにしても、技術的には凄くても、それをどう近未来型テレビのカタチに高めるかといえば、玄人好みというか、「違いが分かる人に分かればよい」的な商品として世に出てくるのかなという予感が今からしています。
今の時代、「夢なんて見ない、ひたすら現実を直視する」って方向に人々の心が向かっているので、モノを作る側も買う側も冷めてしまっている感じがしますし。
私なども、近所迷惑になりそうなモノはまず買いませんし、場所をとるモノでないことも重視します。
時代が悪いせいもあって、私もそうですが、隣も上下階も自宅にいる時間がとにかく長い! そして、不景気ゆえに皆がヒステリー気味になっているので、隣近所が出す音にはもの凄く敏感になっているようです。
……それなのに、日本の賃貸物件は、昔と変わらず、壁薄、天井(床)薄のものが、世に生まれつづけているんですよねぇ。耐震強度など、世間がうるさい基準については改善されますが、隣近所の音のことは個々の問題と軽視して。
電気自動車、燃料電池車などは、すぐそばに来ていることが目で追っていないと伝わらないほど静音性を追求してきている一方で、家庭電化製品はそのへんについての意識が低いというか。
確かに、洗濯機、冷蔵庫、掃除機などで静音性が高いと称するモノも出てきてはいますが、夜の静寂の中だとわずかな音でも憎しみ合いの元になると言いますか……。
とにかく今の日本の住宅事情は「家庭で使うモノを買う」って観点からみると、高級住宅の住人を除き、あまり良くない状況なんじゃないかって気がしますね。(1)賃貸住宅は壁薄、天井(床)薄な物件が多い (2)隣近所との付き合いがないケースが増加 (3)不景気で皆がヒステリックになっている上に、それぞれが自宅にいる時間が長い (4)金欠ゆえに引っ越せない人が多いし、思い切って引っ越ししても、次もまた壁薄、天井(床)薄だったりする
の4点が日本人の消費行動の大きな足かせになっている気がします。そして、これらのことが長らく放置されてきた理由は、
「我々が売り出す製品が欲しければ、頑張ってもっと良い家に引っ越せ!」
と考えるようなタイプしか、この国では偉くなれなかったからでしょう。
さらに、日本にとって不幸なのは、家庭電化製品がここまでイノベーションが行われてきて、 電機メーカーと住宅メーカーで話し合いが一度ももたれていないであろうこと!
実際、掃除機はずっとうるさいですし、少しでも窓を開ければ隣室からテレビの音が聞こえてきます。ビデオデッキなどは動かすだけでもうるさかったですし、エアコンの室外機だってすごい音がした時代もありました。冷蔵庫も小型のやつはうるさいですし……。と、挙げればキリがないです。
それなのに、家電メーカーは作って売り出すだけ、住宅メーカーはツメの甘いルールに則った住宅を建てるだけで、人間関係のデリケートな問題はずっと消費者である住民に丸投げされてきました。
それも、とうとう限界にきたということです。モノが売れなくなった20年くらい前の時点で。
今からじゃ遅いくらいですが、もういいかげん家電メーカーと住宅メーカーの両者が住民側に丸投げしてきたそのツケを返すときではないでしょうか?
・自動車メーカーが車の駆動音にも気を配るのは、うるさいと感じるのが世間だから。
・住宅メーカーは耐震強度に気を配るようになったのは、安全性に対して世間がうるさいから。
・家電メーカーが冷蔵庫や洗濯機のモーター音の静音性に気を配るようになったのは、「夜うるさい」と世間がうるさいから。その一方で、深夜に使うほうがおかしいと世間が思う掃除機などのモノの静音性には気を配りきれていない。
・住宅メーカーは、壁薄、天井(床)薄でモメるのは世間でなく隣近所の住民どおしだからと黙殺。
要はこういうことなのです。
望まれるのは、例えば、家電メーカー側が、「今度、家庭用おしゃべりロボットを発売したいのだが、そのためにも隣室との壁厚をこれくらいの厚みにした新築マンションを建てるようにしてほしい。すでに建ってるものも、これくらいの防音補強をしてほしい」と要望し、住宅メーカー側が、「ここまでならOKだ」と妥協点を提示する……といったやり取りがその都度その都度、二業種間で行われるようになってほしいということです。
……とは書いてみたものの、こんな大改革は無理かなって気もします。
これから先も、家電、住宅、住民の三者で神経戦が繰り広げられていくんですかねえ……。
私個人は、日本がモノ作り大国でありたいと望む限り、住宅メーカー側が壁厚、天井(床)厚、そして、遮音性の高い玄関ドア&窓の物件を世に出すよう改めるほうが良いと思いますが。
安い家賃にこだわる人は、すでに建ってる物件の中から選ぶでしょうから、これから建つものについては良い物件が増えたらいいなと声を小さくして言ってみます。
……と、ここまでは、景気の「気」の話。
日本復活のカギを握っているのが、再び家電が売れる社会になるか否かにかかってると私が思う理由は、不動産や自動車などと違い、家電には維持費がかからないから……に尽きます。
アベノミクスによって景気回復を目指す安倍政権ではありますが、次の政権がアベノミクスの意志を引き継ぐ保証はどこにもありません。そういうことも含めて、みんなが個人消費に慎重になっている状況で、分割払いで購入するのが一般的で維持費までかかる分譲マンションや自動車に、国内消費大幅UPのけん引役になってもらうのはちょっと無理がある気がします。ゆえに家電が大事なんです。
そして重要なのは、いかにして大型の家電を買いたいなって心の中で思っている日本人に、実際に買わせるための手が打てるかです。
オムニ家電(IoT家電)など新しい言葉も聞かれるようになった現在、政・官・財がどう連携して、どのような突破口を見出すのか?
もしもの話になりますが……。
もし今が、少子高齢、超少子高齢社会の日本国でなければ、昨今さかんに言われている「インダストリー4.0(第4次産業革命)」とはベクトルの異なった新しい技術革新が、2017年の今頃には、とっくに日本発で始まっていたんだろうなと私は思っています。
例えば、自動車各社が中年男性の乗り手を意識しすぎて、エコとか省エネといった必要だけど面白味に欠ける技術の追求にご執心だったことなども、出生率2.0台をキープできている日本でなら、たぶん起こらなかったでしょう。
今の日本企業は、輸出企業を中心に海外市場のほうを重視する傾向にありますが、各社とも「良いモノ」を作っているという自負が過剰すぎるくらいある一方で、若者でなく中年以上を意識しすぎた直近のモノ作りゆえに「面白味に欠けるモノ」ばかりを輸出しようとしていることにはあまり気づけていないようです。
欧米や中国などに関しては、日本を追って高齢化への道を着実に突き進んできているので、日本と同じく機能性やエコにこだわった「意識の高いモノ」が売れる時代はまだまだつづくのかもしれませんが、人口構成比でいえば若者層が圧倒的に多い途上国に対しても、その国が豊かにさえなれば日本製品は確実に売れるようになるって説は、本当にそうなのでしょうか?
「面白味の欠ける日本製品たち」が国民性の異なる国の、しかも若い人たちにウケるのか……?
私は、日本の企業はもっと「面白味」を重視したモノを作っていくべきだと思います。
ただ、面白いモノというのは、ある種、無茶なモノでもあるので、日本で長らく続いている「耐震基準さえ満たしていれば、壁薄マンションでもどんどん建てて良いよ」という住宅事情ではやはり難しいのかなというのがあります。日本国内でまったく売れないモノは日本企業には作れませんから。
面白いモノを世に出すには、柔軟な発想だったり、寛容な心が必要なんですが、
「隣の物音、一切許さん」と日々思っている人々が考えることといえば、規制だったり、規律だったり、他人のアラを探して糾弾することだったりでしょう。そんな住居に住む人の割合が増えることは、イコール凝り固まった考えの持ち主がこの国に増えていく一方なのかなと、大いに懸念しています。
すでに、ネットの世界には、考えを曲げない上に他人を見下す人間がやたら多いですし。
何もない昔の時代なら、ボロ屋であっても後に偉大なクリエイターになる人物を誕生させることは可能だったんでしょうが、今のような何でもある時代では、ステレオ(CDコンポ)の大音量はもちろんのこと、ウォークマン(iPod)のイヤホンの音漏れすらも「許せん」ってなっているように、
現代日本の人々の心は、陰に、陰にと向かっています……からね。
そうは言っても、結局、どんなとこに住んでるのかは、勝利者たるお金持ちが優越感に浸れる最たるものですし、下流層がマシなところに住むことをその人たちがヨシとしてくれるのか?ってのはありますが。
……とまあ、こんなことを書いてはみましたが。
それでも私は、日本の技術革新の先には住宅事情の激変はMUSTで必要だと思っています。
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