第255話 キャッシュは重い
「キャッシュで頼む」
キャッシュは現物実体がある質量がある、目に見える信頼度は大事だ。
特に今回のように一見さんを雇うならものを言う。
「そんな大金、私の一存では用意できない」
「悪の組織の割にはしょぼいな」
悪の組織の女幹部なら一千万円くらいはぽんと用意する貫禄が欲しかった。これじゃ中小企業みたいじゃないかと思ったが、そういえば組織のトップの廻が走り回るような組織だったな。
「なんだとっ。別に金が無いと言っていない、ただ許可がいるだけだ」
怒るということは、それなりに組織への愛着はあるようだな。
「ならアジトに戻って、さっさと上司を説得して稟議を通してこい。
俺はアジトに連れて行って貰えないらしいから助力は出来ない、お前一人で出来るな」
「勿論だ」
チョロい。面白いように挑発に乗ってくれる。何か可愛く思えてきた。
「いい返事だ。
四時に朧川区のここの喫茶店で会おう」
俺はタブレットで地図を出し瞑夜に見せる。
「待てっ四時だと」
「時間はそんなに無いと言ったぞ。そこからプロとの交渉に入るんだ時間的にはギリギリだ」
今日の内に見付けて契約までこぎ着け深夜の内に調査して貰う。
ここまで急ぐ必要は無いのかも知れないが、仕事でも宿題でも早めにやって悪いことは無い。
兵は拙速を尊ぶ。まさに格言、金言。
「分かった」
「いい娘だ。
それでそれまでの逃走資金をくれ」
「お前な~」
瞑夜は苦虫を潰しきった顔で応える。
「俺が捕まったら元も子もないだろ。俺はどっかのホテルにでも行っておくさ」
「ぐぐぐぐぐ、、、、、、、・・・・・ 分かった。
大事に使えよ。残ったらちゃんと返せよな」
色々と葛藤はあったようだが納得はしてくれたようだ。
それにしても俺は駄賃を貰った子供かよ。当然使い切ってやる。
「はいはい。お前こそしくじるなよ。何においても軍資金は大事だ。削るだけ石皮音の命も削られると脅しておけ」
「嫌な奴だな。
だが分かった、後で会おう」
「おう」
こうして瞑夜は一旦別れた俺は今、高級ホテルの最上階の廊下の角から見張りが立つ部屋を伺っているであった。
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