第48話 たぬきロスについて

 たぬきロスって一体何の事かいな、と思った方。あなたは正常です。たぶん私にしか分からない概念だから……という事で、たぬきとは一体なんぞや、という話から始めようと思います。


 たぬきっていうのは、通称「たぬきさん」っていう、物書きです。基本的に読み専で、他の物書きが書いた小説に対する、レビューを書くのが好きそうでしたね。なにせ、某小説投稿サイトでレビューを書き過ぎて、どっかの誰かに怒られていたのです、たぬきさん。「いっぺんに五件以上レビューを投稿するな」とか。思うに、たぬきさんに怒った人はたぬきさんに対抗して、いっぺんに十件くらいレビュー書いたら良かったんでねえの。知らんけど。


 私がたぬきさんの事を知ったのは、知り合いの物書きの活動報告だったか……とにかく、たぬきさんの第一印象は「なんか怖い」でした。何が怖かったって、どう言ったらいいんだろう。当時の記憶を辿るに……

「オレは面白い小説を読みたいんじゃ! そして面白いと思った小説の事を、熱く語りたいんじゃー! それ以外は知らん」って感じ。そんで、ああ……思い出した。ツイッターで、あなたの小説読みます! って企画をしていたんだった。たぬきさんは。いや、たぬきさんに限らず、あっちこっちでそういう企画があったんだ。


 そんなこんなである日、知り合いの物書きが、たぬきさんから褒められまくっているのを見て私は思ったのです。「こんなの褒め殺しじゃねえか」と。正直、いい印象が無かった。だから、たぬきさんが書いた耽美系かつダークな世界観の百合小説を読んで、感想を書いたのです。「美しいですねー」って。ええ、たぬきさんが書く小説はだいたい、耽美系でダークで百合で美しかったのです。

 ちなみに私が一番好きなのは男同士の友情とBL(プラトニック)です。←関係ねえ


 たぬきさんは私のそんな偵察的感想書き行為に対し、返信をくださいました。それは、罵倒や怒りなどの鞭的言葉ではなく、ごくふつうのお礼文でした。たしか「ありがとうございます」だったかなあ……

 その感想返信のひと言で、私の、たぬきさんに対する不信感は払拭ふっしょくされたのであります。「ああ、ふつうの人間だった」って。←失礼な話やで


 たぬきさん……ああ、たぬきさん。ツイッターで、楽しくおしゃべりしたり。たぬきさんがツイッターで自分の顔を晒しはじめたときは驚いた。あとは、お互いの年齢とかで驚き合ったり。たぬきさんよ、自前の投稿サイトの運営、やっぱり上手くいかんかったか。あたしゃ、だめだろうなあとか思っていたよ、心の中で。だって、運営ってお金かかるからね。だけどマネーの話、し辛いんだよね……あとたぬきさん、金が無いって話しまくっていたから……


 たぬきさんがツイッターからいなくなって、どのくらい経ったんだろうなあ。アカウントはまだ、あるんだけど。時間が止まってる、2019年の四月から。

 思えば最後ら辺は、トラブルとトラブルと、トラブルだった気もする。見ていてしんどかったし反応し辛く思ってて、そうしているうちに、いなくなっちゃったんだよな。


 そーいう、時期がまた、やってきたんだよな。

 

 春だぜ。

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