第22話 君にかける言葉

 君は孤独だ。いや、傍目には賑やかだ。しかし、前から想っていたんだ、疎外感に押しつぶされそうになっていたのは。君のその疎外感はたぶん君だけの問題では無いと思う。思うに、仕方が無いのだ。


 故郷を失った人にかける言葉がありはしないように、君のその気持ちを真に理解し寄り添える人間はおそらく、同じような環境の人しかいない。あるいは、同じ思いをした人しか。そういった種類の孤独感は、仲良く楽しくするだけでは癒せないだろうし余計に苦しくなるだけだろうと思う。逃げ出した君を見てそのように思った。


 君は一生懸命他人を愛した。出来得る限りの事をして。だけど君の贈り物をどれだけの人間が心で受け止め気に留めただろう。その寂しい気持ちはおそらく、愛ゆえだと思う。注いだぶん空になったのだ。そして継ぎ足されなかった。その事実は君を苦しめているだろうか。もしそうならばもう忘れてしまった方がいい。新しい場所で元気になるまで。君は悪くないのだから。しいて言うならば、人々は喧騒の中にいるうちは気が付かない。誰が友人なのかを。


 美しい海すら汚されている事を私は知っているが何もできない。だけどその事を悲しく思うし、覚えていたいと思う。


 

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