見えるんじゃないんですか?
「霊能力で私の体なんて直ぐに見つかるんじゃないんですか?。あなたは私の事見えてますよね」
うぐ、僕のコンプレックスを突いてくる。
僕は幽霊や魑魅魍魎を見る力がある。僕たちの一族では幽霊を見ることできる人たちと同じく、
「暗そうな顔をしてどうしたんですか?」
「歩きながら話すね。僕たちの力はちょっとと言うかかなり特殊なんだ。霊能力から来る霊視力ではなくて、安倍晴明様にご先祖様が呪われたから見えるんだ」
「先祖様が呪われた?ちょっと良くわからないです」
「実は安倍晴明様は陰陽道の神様になられるくらいの強力な力を持った陰陽師なんだけど、力が強すぎて家には魑魅魍魎や陰気が貯まるらしんだ。陰気とは人の心が持つ恐怖や妬みが集まったもので、力は強くないんだけど、誰かがそれを感じたり、見てしまったら力を与えて魑魅魍魎などを生み出す原因になるんだ。最初の内は自分や弟子に払わされていたんだけど、陽の陰陽力を使って対応するのが効率的なんだけど、いちいち儀式とかするのは面倒だし、呪術を使うのも疲れる。そこで奉公人の一番下っ端だったご先祖様が子孫代々魑魅魍魎や陰気や幽霊を見る呪いの力を与えらたんだ。下っ端だったし、戯れに与えた力だから記録には残ってないんだ」
幽霊さんは不思議そうに首をかしげる。
「でも私見れてますよね」
「この呪いには3つの特性があるんだ。まず一つ目はさっき話したように子孫代々受け継がれる事、二つ目が人の持つ数少ない霊力を見鬼の力に注ぎ込むことだよ。普通は修行したらある程度の霊視力は身につくんだけど、呪いの特性で無理矢理、見鬼の力を与えられている僕たち一族は見えるが故に、霊視力を身につける事ができないんだ」
「普通見えていたら、占いとかできますよね」
「霊視は、物体の持つ魂の力を見て、そこから繋がる霊同士の因果関係を見る力なんだ。だから過去に遡って因果関係を見れば、過去の事も分かるし、因果関係を持つ先を見れば、未来を予測できたりすんだ。でも僕たちの持つ力は、興味と願望の霊的な因果関係を利用したモノなんだ」
「霊的な因果関係?」
興味を持って聞き返してくる。
さすが女子高生、オカルトに関しては興味津々だ。
まて、僕はなぜ彼女を女子高生に限定したんだ。制服もきていないのに?
一瞬間が開く。
「怖い物見たさって知っている?」
「はい。怖い物ほどみたいと言う感情ですよね。知識はあります」
「それと幽霊さんたちは何かを伝えたるために自分の存在を見つけて欲しいと強く望むよね」
「です。そうです。誰かに見てもらえないと惨めで寂しいです。伝えたい想いはたくさんあるんです」
「その関係を利用した呪いなんだ」
「どういう事ですか?」
「幽霊さんが存在している場所に行くと、僕たちの一族は違和感を感じるんだ」
「それからどうなるんですか?」
やはり興味があるらしい。
「そこからが幽霊が持つ見られたいと気持ちと何かいる言う呪いの力が合わさったお互いの見られたいと見たいと言う好奇心が相まって急速に因果関係と言うか縁が深まって言って見えるんだ。陰気とか魑魅魍魎も基本的にはこの法則で見えるよ」
「難しい事は分かりませんけど見えるんじゃないんですか?」
「見えても良いこと無いよ。禊とお祓いとかしないといけないし、霊的な存在はコワいしね」
「そうなんだ。こわいんだ」
急速に幽霊さんの声が低くなっていく。
「私はこんなにかわいいのにわいんだ!。あなたは違うと思っていたのに。やっぱり取り殺します」
幽霊さんはやばい。
一つの強い気持ちで生きているから、それを否定されたと感じると、怨霊や悪霊に変化する。こうなると高い徳を持ったお坊さんに説諭してもらって、成仏をしてもうほかない。僕はどこで選択肢を間違えたんだ。
人生にセーブポイントは無い。
過去の失敗のやり直しは聞かない。
困った。
どんどん幽霊さんは陰気をまとい黒くなっていく。
生き残る選択肢はどれだろう?
1 ロングヘアーの子は好きだよ。
2 結婚してくれ
3 幽霊さんを見つめて愛してると言う。
4 幽霊さんは素敵だよ。
どれもだめっぽい。
どこで選択肢を間違えたんだ。
死亡フラグに向かってレッツゴーだ。
第一依頼された僕がなぜ幽霊さんの機嫌を取らないといけないんだ。
幽霊さんが理不尽なのはいつもの事だけど、なんで卑屈にならないといけないんだ。幽霊さんたちに道理を問うても仕方ないし、僕の一族の家業だから仕方ないけど、だんだん腹が立ってきた。
僕が黙っていると幽霊さんは怨霊と言うにどこか悲しげに呪いの力も無く宣言した。
「黙っていると言う事は、認めたと言う事ですね。あなたにはそう思われたくなかったのに。とり殺します」
そう言って僕の体に入ってくる。
呪殺反射が聞かない、純粋な感情だった。
そこから僕の魂に触れ、思いが伝わってくる。
理解されない悲しさと苦しみ。
いつになったら体が見つかるか分からない不安。
一人ぼっちのさみしさ。
誰かに存在を認めて欲しい気持ち。
そのような感情が伝わってくる。
僕は自分を殴りたくなった。
自分の傲慢さと無力がに包まれる。
幽霊になるにはそれなりの重たい感情があるのだ。
それを理解して無かった。
何が霊能者の一族だ。
恥ずかしい。
だから僕は彼女に取り殺されたく無くなった。
幽霊さんを助けたくなったから。
僕は自転車をガードレールに倒して置く、急いで烏枢沙魔明王様の印を組む。
「オンクロダナウウンジャクソワカ」
烏枢沙魔明王様の真言を服が炎に包まれるイメージで唱えた。
幽霊さんは純粋だけど、不浄な存在だしなんとかなると思う。
幽霊さんは僕の体に入れなくなった。
そして僕の体から出ていく。
そして僕は微笑みできるだけ安心させるように言った。
「幽霊さんはかわいいよ。君は特別だよ」
どんな僕を見て彼女はほほえみながらいった。
「私はこわい幽霊ですよー」
僕は倒していた自転車を持ち直し、さらに言う。
「こわくないよ。本当に」
「どうせ怖くてブスな幽霊ですよー」
「君は特別に怖くないし、かわいいよ。あった幽霊さんや神様の中で3番目くらいにかわいいよ」
「本当に?」
幽霊さんは真剣にすがるような声で質問した。
僕は彼女を心配させないように断言する。
「君は怖くないし、かわいい。だから最後までつきあうよ」
「ありがとう」
幽霊さんは満面の笑みで答えてくれた。
「最初に出会った公園に行くよ。自転車で移動しよう。僕に捕まって」
そう言うと幽霊さんはジーンズはいているのに、自転車の荷台に横座りをする。
そして僕に体を寄せて捕まった。
誰も見えないし、見える人がいればこっちの姿の方がはずかしいのに。
占えたじゃないですかに続く
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