不思議な幽霊さん
あぁ眠い。僕は夜勤のバイトをしている。昼間に断捨離だと言って弟にゲーム機を全て弟の住むアパートへ引き上げられた。ずっと電源を入れていたスケジュールソフトもあったのに。指定された時間を過ぎて話の内容は変わらなかったけど、内蔵電源も死んでる思うから思い出を失うのが嫌でずっと電源を入れていた。そんなごたごたがあって、昼間眠れずに、夜勤の交通誘導の仕事に行った。別にやりたくてしている仕事じゃないけど、仕事が無いからしている。代々霊能者の家系である僕は幽霊を見る力「見鬼」《けんき》と呼ばれる力を持っている。後少し霊能力が使える。だけど夜勤は最悪なんだ。夜は幽霊や魑魅魍魎が出やすい。それは暗闇が人の恐怖心が何かがいると感じるからだ。実際にいたら見た人間に影響力を与える事ができる。そうするとこの世界に少しだけ存在を証明する事ができる。特に僕に与えられた見鬼の力はちょっと特殊でこの影響関係を強く影響を受ける。だから夜は怖い。それに交通誘導の技術上、夜は難しい。暗いからだ。二重の意味で僕にとって怖い夜だった。だから寝たい。
「起きてください」
だけど不思議な事に僕を起こそうとする声が聞こえる。
かわいい声だ。
とてもかわいい。まるで声優さんみたいな女の子らしい声をしている。
だけど彼女がいない暦、年齢の僕にはこんなかわいい声で起こしてくれるはずがない。知り合いに女性が一人いるけど、こんな時間から家にこない。
僕は26歳のフリーター、夢も希望も無い。だから女性に起こされる謂われは無い。
「起きてくださいよぉ」
困った様な声で声をかけてくる。
でも眠たい。かなり眠たい。
女の子困らせているのは嫌だけど、僕には起こしてくれる人がいないのだから問題が無い。
ゆさり
ゆさり
今度は体を揺さぶってお越しにかかって来る。
これが気持ちいい。
僕はネットのスラングである言葉を適当に変えながら眠そうとしていた。
・・・もう、ゴールしてもいいよね。寝ることが僕のゴールだから。
僕は昨日、たまたま公園で過ごす事になって今帰って着た所だ。
だから寝たい。
とてもつもなく寝たい。
睡眠ほどの快楽を僕は知らない。
だから寝たいんだ。
「起きてください。起きてくださいよぉ」
なんとしてもこのこの声に持ち主は僕を起こしたいらしい。
かわいい声の持ち主を困らせているのは悲しい。
だけど・・・実際に目を覚ましたら、声だけかわいいと言う現実は待っている事もありえる。あんな悲劇はもう二度と経験したくはない。
声がかわいいくても、実年齢は?と言う保証は無い。
だから夢は夢のままがいい。
あんな悲しい思いをしたくない。
かわいい声の持ち主がかわいいなんて保証はどこにも無いんだ。
夢は夢、幻想は幻想だから美しい。
夢を見て、夢を勝手に押しつけて、そして夢じゃ無いと裏切られと思う悲しい
思いは嫌なんだ。
幻想は幻想だからこそ美しい。
だから僕は夢を見ないにしている。
どうして夢の中なのにこんなに冷静なんだろう?
でも何かそう言う事はあるよね。
コト。
コトコト。
深い眠りに誘われる瞬間、何か硬い物が動く音が聞こえる。
何かを取り出すような音。
でも気にならない僕は眠たいのだから。
「仕方が無いな。いち、にー、さんー、死ー」
何か楽し気なカウントダウンが聞こえる。
でも良いか、僕は寝る。
「GO」
「ごふぅー!」
僕は奇声を上げて、跳ね起きた。
一瞬にして目が覚める。
お腹にものすごい衝撃を感じたからだ。
何が起こったか確認するために僕はお腹を観ようとした。
僕の目の前には少女がいた。
その少女の存在もお腹の衝撃も理解できない。
少女の髪の毛の色は栗色のストレート。目鼻立ちは整っている。
って何を観察して員だ僕は!
ロングのストレートはヘアは僕の好みだ。
栗色の美しい髪の毛の色をしている。
そう大好きな髪型だ。
いや!
それは良い!
それよりお腹の上の衝撃だ。
少女から目を離し、僕は布団を見る。
そこには?
そこには!
太もものあたりに国語辞典が載っていた。
跳ね起きた衝撃で国語辞典は太ももの上に行ったのだろう。
衝撃は国語辞典の落下によるものだった。
なんで国語辞典が僕のお腹に降ってきたのだろう。
そして、この少女は誰だろう?
混乱している。
理解が追い付かない。
そして、何となく少女を見る。
すると視線が合った。
少女は嬉しそうに微笑んでいた。
「おはようございます」
とてもかわいい声で朝のご挨拶をする少女。まるでゲームに出てくる少女の様な声だった。
「うぅぅぅ」
僕は国語辞典を持ち上げ呻くだけだった。
言いたい事はたくさんあったのだけど。こんなにかわいい声であいさつされているだけど。彼女を見つける事しかできなかった。
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