脊椎動物


「あれを切断しようよ」

わたしは言った

だがその提案はあえなく却下

なんだよ

わたしは不貞腐れた

あんなもの一刀両断してしまえばいいのに

それなのにあれは切断されず未だ繋がっている

くだらねー

夏の陽射しが降り注いだ

「ねーねーもうすぐ死ねるかな?」

柔らかい飴からの反応

可能な限り頑張れっ

希望とは程遠い言葉をわたしは送った

その先に楽しいことなんて何も用意されていないのに

そのような真実はごろんと道端に転がっているがみんな見て見ぬ振りをする

そういった名人になることを強制される

ほっこり、とか言わされる

くだらねー

猿にマヨネーズを頭からぶっ掛けたい気分

ぼけなすの群れ

茄子科の哺乳類でしかも阿呆

前世でビフィズス菌に殺されたファック野郎

時計の針の動きを眺めてやがて人生は終わる

繰り返される単調な日々に思考は既に奪われた

こんなのってないよな

まるでわたしがわたしではないみたい

未来はもうたった一つしか残されていないような気がする

そこへ向かって落下するように進め

「えへふっ」

わたしは笑った

わたしは脊椎動物

てめえもてめえの彼氏もてめえの隣りの家のハムスターもおそらくは脊椎動物

つまり逃れられない宿命を背負っている


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