プリンからの卒業


プリンが

プリンであることを辞めたいのだそうだ

口を開いた

「プリンにだって、プリン以外の人生がある筈なんです」

何だか面倒なことになってきやがった

おれは頭をぼりぼりと掻いた

「あのな………」

風呂上がりにプリンを食べようと思っていたのに

プリンにそのようなことを言われ困ってしまった

(プリンがプリンを辞めたいだって?)

そんな話し聞いたこともない

今までも、おそらくこれからも

おれはプリンを説得した

だが断固としてプリンはプリンに反対だった

「もうプリン辞めます」

そう言い残し玄関から出て行く姿をおれは眺めていた

匙を握りしめたまま


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