休日


おれは昼間から

寝っ転がっていた

重力に完全降伏宣言を出していた

「勝てねえ」

嫁が呆れて物も言えなかった

だがそもそもおれには嫁なんていない

全ては妄想の産物なのだ

青春………

そんなものが一体、何処にあったのかおれは知らない

きっとおれには用意されていなかったのだろう

「ひうひう」

もはや呼吸をするので精一杯

他には何もする気が起きなかった

架空の嫁の操作する掃除機がおれに直撃していた

出血もしていた

「あら、何かしらね?」

透明な嫁はすっとぼけた

おれは黙り込んだ

何もかもを受け入れるつもりだ

この世界の理不尽を

そのあとで立ち上がるだろう

きっと何かまだやることが残されているような気がしているから


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