お前んちの家にいる心の闇を名付ける権利を売ってくれ
玄野睡眠
第1話
かなぐり捨てた。鬱陶しいという理由以外に説明が必要だろうか。
「二千円札を偽造するのやめらんねェわ」
青白く発光する液体を見て少女は呟いた。
「これがなきゃ人生は束縛だよ」
開き切った瞳孔でそう続ける彼女の言葉に、部屋の隅でうずくまる少年は心底不愉快そうに微笑う。
カチカチと響くノイズの発生源を指差しながら少年は、「……それ、あぶない」霞んだ声で言う。
「うるせェ。てめェは部屋の湿度を上げるためだけの加湿器みてェな存在の癖して細けェんだよ」
少年は歯をカチカチと鳴らし、憎らしそうに彼女を見やる。
「なんだァ? 今夜の飯はお前の前歯で出汁をとるか?」
目を逸らすと、少年は俯いてほとんど生活音に紛れるような声色でぶつぶつなにかを唱えだす。
「ちっ、根性無しはキノコでも生やしとけばいいんだよ。いちいち突っかかってくんなや」
今日の夕食はストロングゼロとウィダー。
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