星の瞬く
芦花公園
あなた
ブスは嫌いだった。
ブスはいるだけで不快だから。他人を不幸にさせる存在だから。ブスは誰の役にも立たないから。生きている価値がないから。ブスはいない方がマシだから。何より、ブスはブスだから。
ブスは死んだ方がいい。嫌いだった。
ブスは死ねばいい。生まれてからずっとそう思っていた。誰にも肯定されることがなく、叶えられることもなかった私の願い。
それを今日やっと、叶えられる。
何を望んでも何をしてもいい、とあなたは言った。すべて叶える、許されるとあなたは言った。
やっと叶えられる。ブスは死ねばいい。
息を深く吸い込むと、消毒液の匂いに混ざって、ほんの少しだけ甘い匂いがする。
あなたの匂いだ。
あなたは私をいつも喜ばせてくれる。
8階の屋上から見る夕日はとても綺麗で、その下で起こっている人間のあれこれなんてどうでもいいと思えてしまうくらいだ。
風が頬を撫でる。分かっている。
夕日なんかよりよほど綺麗なのがあなただ。夜明けに瞬く星が、あなただ。
そろそろ行かなくてはいけない。
私は下を見る。
あなたが手招きをする。
私は。
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