第1試験


俺たちは裏第1演習場という場所に移動した。

そこには的が10用意されてある。


演習場は表と裏があり、それぞれ第1、第2とある。

うるさい試験管の方は表演習場なのだろう。


「あの的に攻撃してください。ただし、あの的はミスリルで出来てます。さらに防御魔法をかけてあるのでそう簡単には傷一つつきません。それと魔法を使う人はこの線から放ってください。それでは第1試験を始めます。526番~535番。」


「「「はい。」」」


世界で最も硬いミスリルでさらには防御魔法もかけてあるのか。

周りはどんな攻撃をするんだ?


526番の子は女の子で魔法を使おうとしていた。


「フレイムアロー!」


炎で出来た槍が的目掛けて飛んでいく。


ドンッ!


見事命中したが的は傷一つついていなかった。

うーん。スピードも遅いし、威力もイマイチだし、可哀想だけどあの子は不合格だなぁ。


「おぉ!すげーぞあの子。」

「フレイムアローの威力も命中精度もすごいぞ!」


え!?嘘だろ?みんな冗談だよね?


「素晴らしいフレイムアローでした。526番第1試験合格です。」


「やった!ありがとうございます。」


冒険者学校の合格ラインって意外と低いんだなぁ。


この組みで合格できたのは526番だけだった。

まぁ、育成学校だしあの中じゃ1番才能があるみたいだし、第1試験じゃこんなもんなのかもな。





その後も試験は続いていき、俺の番になった。


「はぁ。やっとか。」


今の所合格者は300人くらいだ。

やっぱり合格ラインが低い。


俺がスーを抱えて前に出ると、


「あなたはテイマーなのですね。」


「え?」


テイマーとは魔物を使役して魔物で戦う人のことだ。


「いや、違いま……」


「おい。あいつスライムなんか持ってるぜ。」

「まさかスライムにやらせるのか?」

「あははは。スライムに何ができるんだよ。」


いや、テイマーじゃねーよ。

俺の試験だから俺がやろうと思っていたが、スーを馬鹿にされたまま黙ってるわけにはいかないな。


『スーーー。』


スーもやる気のようだな。見せてやるか。俺の組みで最後だし。


「おい、お前スライムに何かできるわけないだろ。さっさと帰れよ。」


俺の隣の貴族の子供が言ってきた。この時点でもう他の人たちは終わっていて残りはこの貴族の子と俺だけだった。


「黙れ。さっさとやれ。」


「くっ!こいつ!僕に向かって……まぁいい見せてやるよ。格の違いをね。」


そう言って貴族の子供は天に右手をかざす。すると魔法陣が浮かび上がり、


「ライトニングボルト!!!」


ズドォォオン!!


落雷は見事的に命中した。砂煙が無くなり的には少しヒビが入っていた。


ーーおぉぉぉ!!!


「これは凄い。的に傷を付けた受験生は久しぶりに見ました。」


「すげー!」

「なんて威力のライトニングボルトなんだ!!」

「流石公爵家のご子息様だ!」


周りは盛り上がっている。確かに今までの受験生の頭一つ分飛び抜けている。


「へっ!どうだ?これが格の違いだ!」


貴族の奴は自慢気にそう言ってきた。

この程度で格の違いねー。


「お前達が馬鹿にしたスライムが今から本当の格の違いを見せてくれるぞ?」


『スーー!』

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