かねのなるき
明日香狂香
第1話 名前
名前。それは、産まれたときに親が勝手につけたもの。
僕は、自分の名前がずっといやだった。
金野 奈留樹。かねのなるき。ひらがなで書いていた小学生時代は、特にだ。
「どうして、この名前なのさ。」
昔、親に聞いた。
「面白いから。」
親父の答えには、腹が立ったというよりはあきれた。そんなことで、僕の人生に関わる重要なことを決めたのか。
「うちは、苗字が金野でしょ。別に財産があるわけでもないし、一生くいっぱぐれがないようにと思って。銀野だったらサジって名前だったかもね。」
母親の話しを聞いて、納得はできたものの、いやなものはいやだ。いつか、改名してやる。そう思ったのも無理からぬことだ。
中学になると、いじめられるようになる。
「かねのなるき、なんだろ。金出せや。」
カツアゲされそうになる。実際、お金なんて持って行ってないから、その時はからかわれるぐらいで済んでいた。
高校になると。昼飯代を持っていく。当然、不良に狙われる。面白ネームなんて格好の餌食だ。
「よう、おれのダチになんか用か?」
たまたま、席が隣になった不良を気取ったクラスメートに救われた。かれは、皆に白い目で見られていたが、僕が気にせず話をしていたので、気に入られたようだ。
彼は、僕をいじめるでもからかうでもなく、ただ話しをしてくる。
実は、かれも名前で苦労しているらしい。
南田 天使。みなみだてんし。天使とか堕天使とか呼ばれていたらしい。親はかわいいと思ってつけたんだろうがいい迷惑だ。
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