18

ベッドの上に下ろされ、髪を優しく撫で上げられる。


「ねぇ、美咲。美咲もオレに夢中でしょう?」


「さあね」


「強がっちゃって。まあそういうところも好きだけどね」


どくんっ…!


悪魔の甘い微笑に、高鳴ってはいけない胸が鳴る。


「好きだなんて…簡単に言わないでよ」


「だって美咲のこと、大好きだし。美咲はオレのもの。大事に可愛がってあげるよ」


「高校2年生のセリフじゃないわね」


「アメリカ帰りだからね。精神年齢が高いんだよ」


「生まれつきの性格じゃない?」


「そうかもね。小さい頃から、気に入ったものは1人占めするタイプだから」


どんな皮肉も彼には通じない。


「大好きだよ、美咲。一生可愛がってあげる」




「はぁ~」


「深く重いため息ね。悩み事を打ち明けに来てくれたんじゃないの?」


「ん~。休みに来たの。心を休ませるの」


「あっそ。はい、コーヒー」


「ありがと」


例のごとく保健室に来たアタシを、涼子は迎えてくれた。


「…で? 恋人とは上手くいっていないの?」


涼子はどうやら、アタシが面倒な恋愛をしていると思っているらしい。


…まっ、否定はできないけどさ。


「ううん。ただ束縛が強過ぎて、ちょっと疲れただけ」


「アンタそういうタイプに好かれそうだもんね」


「そう?」


「ええ。だってわたしの親友だもの」


「涼子って束縛タイプ?」


「まあね。だから同属は受け付けないのよ」


「?」


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