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もう…担任どころか、教師自体を続けていく自信が無くなってきた。
「ごっゴメンね、先生」
「いろいろとオレ達も言っているんだけどさ」
「アイツ、自分が英語得意だからって、天狗になっているんだよ」
生徒達から慰められる教師…情けな過ぎる。
「…も、良いわ。とにかく、授業を始めます。もうすぐ学期末のテストがはじまるしね。みんな、気合を入れて頑張って」
1人の生徒の為に、他の生徒達の授業に影響を与えてはいけない。
アタシは気持ちを切り替え、授業を始めた。
―そして無事、終了。
生徒達は渡されたプリントに、顔をしかめている。
「世納くんのは…机の中にでも入れといて」
「はい」
彼の後ろの席の生徒が、英語のプリントを机に入れた。
カバンはある。だから学校には来ているんだろう。
朝、廊下で見かけた気もするし。
アタシは深くため息をつきながら、保健室へ向かった。
保健教諭はアタシと同じ歳で、同じ大学を出た榊原
さかきばら
涼子
りょうこ
がいる。
美人でビシッとしていて、生徒達や教師達からの信望も厚い。
しっかりしているから、いろんな人から悩みを相談されるそうだ。
彼女は実際、カウンセラーの資格を持っているから、いつも保健室は誰かしらいる。
「榊原先生、今良いですか?」
だからアタシは保健室に入る時は、教師の顔をする。
「アラ、美咲
みさき
。また世納クンに逃げられたの?」
ぐっさり★と言葉の矢が、胸に突き刺さった。
この言葉のキツさ…本当にカウンセラーの言葉だろうか?
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