世の中の歩き方

 何だろなあ。自殺の事について、考えました。なぜかと言うと、身近な人が自殺(未遂)したと聞いたからです。十代前半の子供です。


 事例を出して考察するにはまだ、生々しいといいますか、辛いので、思った事をつらつら、述べる事にします。読む方も、気楽にいて下されば。


 いきなりなんですが、道徳を子供に教えるにはどうしたらいいのかと聞かれたら、こう答えますね。「日本国憲法を知る事です」と。誰が誰をいじめただとか、事例を挙げて考えさせるのはその後なのです。まずは、人権とは何なのか知る事。そして、表現の自由。


 あとは、子供の権利条約かなあ。ともかく、民主主義国家である日本の、主権者は国民である事をよーく教えてですね。「偉いのは、誰だい。総理大臣かい? 先生かい? 長生きしてる人かい? 答えはね、人間同士は、偉いもダメも無いんだよ。大人も、子供も、同じ人間」という具合に。その年齢に合った表現で。

 そして子供自身が、主体的な存在であるという事を教える、そういう教育が大事なのです。子供は、親の所有物では無いという事です。


 子供を所有していると思っている親がいたら、あんた、間違ってるよって事ですね。子供には子供の人生がある。その子供が大人になるまで、親は産んだ責任として、サポートするべきなのです。それ以外の、子供を育てる理由は、そんなに無いんじゃないかなあ。可愛いのって、本当に小さい時までだし。ペットとちゃうんですね、子供は。たとえ暴れ猿のように家を壊す存在であっても、育てなくちゃいけないんです。結構大変ですよね、何か。


 ところで十代の子のめんどくささについては、誰もが通る道としか言いようが無いですね。ずっと前髪気にしてるとか。取っ散らかった部屋に友達が来るとかで、騒いでいたり……そんなに慌てるなら、掃除しとけよな、と思います。

 あとは長女など、「おしゃれな服が欲しい」と言うから「友達と買いに行け」とお金を渡したら、「自分で選べないし、友達も似たようなものだ」などと言う。「親より大きい娘、どうせえっちゅうんや、またワテが一緒に行くんかいな面倒くせえな」とボヤく母親。


 まあとにかく、十代の子どもはそんなに、可愛くは無いですよ、普通は。それをだな。親の言う事聞かないからって、悪い子供扱いするのは、どうなのかね。親の言う事聞く十代なんか、はっきり言っておかしいで。

 例えばリストカットしてる十代の娘にだな。「しっかりしろ」とか言うのは間違ってるんですわ。オヤジさん、あんたが勉強せなあかんのやで、学校の先生やろあんた、ってなもんですわ。ええ、こっちの話で。


 それにしても、結論です。言いっぱなしでは、後味が悪いのだし。

 とにもかくにも、子供はそんなに、可愛く無いですよ。それが言いたかった。可愛いから育てるのでは無い。育てる事に、意味は無い。いや、意味はあるんだろうけど、可愛いからでは無い。確実に。私だけだろうか。


 子供を育てるにあたっては、悲惨です。ウンコ、おしっこ、ゲロの処理。真夜中、風呂場で布団を洗う。

 食事は、さらに悲惨。おっぱいの出が悪ければ、乳首を歯茎で噛む赤ん坊。気に入らない離乳食は、ベロベロ吐き出しながら指でこねる幼児。子供の体重の増え方が悪いと、検診で「お母さん、食べさせて(飲ませて)ますか」などと保健師からの指導。「子供が自分の意思で食わねえんだよ!」と怒鳴りたいのに、泣く。そしてカウンセリングへ。

 大きくなった子供、思春期にさしかかるタイミングで、人間関係のトラブル。親同士の話合い。どうせなら殴り合いで勝った方でいいんじゃねえの? と言いそうになるくらいめんどくさい。


 めんどくさいんですよ、子供は。大人はさらに、めんどくさいんですがね。人間自体がめんどくさい。それなのに、子供に「しっかりしろ」なんて、現実的じゃ無いのです。「そもそも誰もしっかりできてないし、する気も無いかもしれない」と言うのが正しい。富と権力への飽くなき欲求によってその手を汚してきた大人が先生などと呼ばれていい気になってる今もどこかで、誰かが自殺してんだろうなあと思うと、誰もしっかりなんかしてないよ、どんなに偉い人でもね、と思うのです。あるいは、盲目的に競争に勝つ事だけをおこなってきた人間がある日ふと「俺って嫌われてんなあ」と自覚してしまう日が来るのか、みたいな事を考えたくなる、そんな世の中なんですよ。いや、そんなめんどくさい事考える人間が、何かボヤいてる。それがこの文章の、全てですね。

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