救済ノート、まとめ
さて、メグがヒロインの場合を含めてどこがどうなっているか……改めて一度整理してみるか。
見比べて、今後の方針を決めるとしよう。
まぁ、大前提として俺は『フィリシティ・カラー』を一度しかプレイしていない。
そして、ネタバレをネットで見た時『フィリシティ・カラー 〜トゥー・ラブ〜』大型アップデート第二弾、ってやつまでだ。
その後にシリーズが増えていた場合、俺は分からないし……しかし、この世界はその『続編』的なものである可能性が極めて高い、とする。
理由としては『ヴィンセント』であるはずの俺が『オズワルド・クレース・ウェンディール』というネタバレサイトで見たこともない存在になってしまったからだ。
と、いうのを踏まえた上で知る限りの情報と差異をまとめてみよう。
まず戦巫女がヒロインの場合。
お嬢様の破滅エンドパターンはこうだ。
【レオハールルート】……ダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【エディンルート】……エディンと巫女がハッピーでくっついた場合は崖から落ちて自殺。
戦巫女が戦死した場合はダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【ケリールート】……ケリーと戦巫女がハッピーでくっついた場合は巫女を虐めたとして服毒自殺。
戦巫女が戦死した場合はダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【ヴィンセントルート】……ダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【その他攻略対象】……ダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
悲惨……。
あ、改めて見ても悲惨……!
……苦労人エンド……お嬢様の破滅エンドの中では最も多いパターンだが、その実かなり厳しいエンディング。
勝利した状態であろうとエディンはお嬢様を愛する事はなく、放って女遊びに興じる。
しかし敗戦した場合はより悲惨で、“爵位を奪われた”……平民のエディンと結婚……それも、ケリーもまた敗戦によりリース家もお取り潰しとなっているため両親や義弟の支援もしながらの余生となる。
ひ、悲惨!
更には、勝利した種族によってはエンドロールの数行で『ウェンディール王国は滅んだ』となるおまけ付き。
おおぉ、お嬢様ー! なんてお労しいいぃぃ!
こほん!
しかし、今のエディンは恐らく戦巫女がエディンルートに入った際にジョブチェンジした『努力家のエディン』と思われる。
そしてなによりお嬢様はエディンと婚約を解消しているので、結婚して苦労人エンドにはならない、はず。
同じ理由で、エディンと巫女がくっついても崖からの自殺はないはずだ。
やはり問題はケリーのルート。
何故なら優しいお嬢様が戦巫女をネチネチ虐める理由が分からない!
お嬢様が服毒自殺を命じられるのは戦巫女をネチネチ虐めたせい、とあったが、まずもってお嬢様がそんな事をするはずがないのだ。
それに、あのシスコンがお嬢様の服毒自殺を止めないはずはない!
……やはりケリーにはヘンリエッタ嬢と結婚して頂くのが一番いいな!
…………複雑だけど……。
気を取り直してマーシャがヒロインの場合。
お嬢様の破滅エンドパターンはこうだ。
【レオハールルート】……マーシャとの恋愛は不可。なのでお嬢様はダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【エディンルート】……エディンとマーシャが結ばれると、崖から落ちて自殺。
攻略失敗の場合、ダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【ケリールート】……ケリーとマーシャが結ばれても、攻略失敗になってもダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【ヴィンセントルート】……ダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【クレイルート】……ダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
【その他攻略対象ルート】……ダメなエディンと結婚して苦労人エンド。
『トゥー・ラブ』、マーシャの場合はケリールートから服毒自殺が消える。
ふむ……マシっちゃーマシだが、苦労人エンドはそれはそれは悲惨なので結局のところこれが一番怖いんだよなー……。
あとは戦争の勝敗……勝利種族による、支配の形にもよる。
で、メグがヒロインの場合はさっき確認したアレ。
メグの場合総合的に難易度が高い。
……ライバル役とかいらなくない? と思うレベルの難易度設定だ。
「うーん……」
情報が、やっぱり足りない、よ、なぁ。
エディンと結婚……苦労人エンド、は回避したと思うが……それは『戦争に勝利した場合の苦労人エンド』と、思うべきだ。
戦争に敗北して勝利種族が獣人族と人魚族なら人間族は今度こそ滅ぼされる。
まあ、偽物のマリアンヌ姫が王位を継いだ場合の破滅エンドは回避されたと判断して……それは良しとしても……。
そう、最大の恐怖は『俺自身』。
「…………」
オズワルド・クレース・ウェンディール。
メイン攻略対象の一角である『俺』が『トゥー・ラブ』以降の『オズワルド』という攻略対象であった場合の……お嬢様のエンディングが全然分からない点!
『ヴィンセント』の場合はライバル役がマーシャという事でお嬢様にさしたる被害は及ばないのだが……『オズワルド』の場合はどうなのだろう?
それに『フィリシティ・カラー』の攻略対象の多さを思うと、『トゥー・ラブ』以降に続編またはアップデートがあった場合、更に攻略対象が追加されている可能性がある!
これまで追加攻略対象もお嬢様に『苦労人エンド』しかもたらさなかったが、追加キャラが同じとも限らない。
お嬢様の働き者ぶりを思うとその可能性は捨てきれないんだよ。
ああ、もうくそぅ! 決定的に、情報が足りない‼︎
「どうしよう……でも、さすがにメイン攻略対象がこれ以上増えるとも思えないし……」
増えたとしても追加攻略対象、だろうし?
……ああもう! こんな事なら本当にもっとやり込んでおけばよかった!
もしくはみすずと連絡取りたい。
……でもここは異世界……俺と同じ世界であのゲームをやっている人間なんているわけが……………………。
「…………。いや、だが、しかし……」
頭に浮かぶのはヘンリエッタ嬢だ。
俺と同じ世界から来た人間。
なにやら魂的なものが、とか言っていたような気はするが、もしや中身も女性で『フィリシティ・カラー』プレイヤーだったりとか、し、しない?
ふと『BL』や『腐女子』とか単語を聞いた気がするんだけど……い、いや、しかしBL好きの腐女子が全員『フィリシティ・カラー』をプレイしているとは限らないし。
それに例え仮に彼女がオタクでも属性が腐女子かどうかは分からないだろう?
現にうちの(前世の)妹はオタクだったがそれほど腐女子属性が強いわけではなかった。
奴の部屋に溢れるのは乙女ゲームのみ!
興味本位で「腐女子なの?」って聞いたら「BとLに理解ある恋愛脳オタクかなぁ!」と胸を張っていた。
正直あの頃は違いがいまいち分からなかったが、今はその意味がなんとなく分かる気がする。
……きっとライナス様とスティーブン様のせいだな。
なので決め付けてかかるのは危険だ。
……だが、確認はしても問題ない、よな?
「よし! 当面の目標はこれだな」
ヘンリエッタ嬢とケリーをくっ付けてケリールートを破壊する!
ついでにヘンリエッタ嬢の中の人が俺と同じ世界の……オタクなのかを確認する。
お互い、妙な事情持ちだ……あまり踏み込み過ぎても危険だろう。
彼女の立場と、俺の立場が変な事になりかねないもんな。
そもそも、良家のご令嬢と頻繁に2人きりになれるわけもないし。
あとは現実的な問題としてオークランド一家の暴走を止める。
お嬢様とレオの婚約問題。
近々の予定としてはクレイと陛下の対面。
いよいよ亜人と人間の協力関係の構築だ。
あまり放置しておきたくないものとしてルークの出自。
エディンの夜中までやってる弓矢の訓練。
ハミュエラの体調とーーー。
「……ライナス様の様子がなぁ」
アリエナの話を聞いたあとから少しおかしかったんだよな。
あの人根が真面目だから……あ……違うな……それもあるかもしれないけだ、そういえばライナスルートでは彼の幼少期の『罪』が語られる。
懐いていた使用人を撒いて町で1人遊ぶ。
そんなライナス様を探していた使用人は馬車の事故で大怪我をしてベックフォード家を去っていった。
ライナス様はそれが原因で、使用人を連れ歩くことを極度に嫌がるようになったのだ。
成る程、アリエナ嬢がアンジュに手をあげた事が幼い頃の自分の『罪』と重なって思えたのか……あの人らしい。
あの人らしく、真面目で優しい理由だ。
「………………」
最後の公爵家の一角、ハワード家の王家への謀反疑惑もライナス様とアルトを悩ませる要因。
東西南北の公爵家は皆近い親戚関係。
ライナス様とアルト、ハミュエラとラスティは従兄弟。
今のところ、ハワード家の問題を話したのはライナス様とアルトだけだが……ハミュエラに話すのは未知数過ぎて無理。
まあ、この辺はレオにも話したから大きく『国の問題』の一つ。
この辺りの事は日記にしっかり書き残して……と。
パタン。
二冊の本を閉じる。
やはりたまに見直しして確認するのは必要だな。
今は8月半ば。
戦巫女の召喚は、ゲームだと12月の『星降りの夜』……あと半年か。
あと半年でこれらの問題はどのくらい解決出来るのか。
それとも、これもまた戦巫女(ヒロイン)の攻略の為のダシにされるのか……。
なんにしても、ある意味ケリールート以上の謎……『オズワルド』の攻略を阻む方法はシンプルにこれだろう。
俺が戦巫女をはじめとするヒロインたちに落ちない事!
ふん!
マーシャは当たり前だがメグにも落ちない自信しかない。
しかし戦巫女は分からない……どんな女の子が来るんだ。
まあ、どんな強敵だろうと俺は負けない。
告白されても振ればいいのだ!
俺はお嬢様一筋! 絶対に負けたりなんてしないんだからなー!
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