第一話 誰も近づいてはならぬ
その昔、ここらの国は吸血鬼たちが治めていた。
人間よりうまい亜人たちの血を求め、他の種族も巻き込んで戦いを繰り返していた。
共殺しし続けた上に疫病の流行も相俟って、吸血鬼の数はどんどん減っていった。自業自得と言うか、何というか、まあ当たり前の結果である。
数の減った吸血鬼たちを纏め上げ、もう一度権力を奪い返した一族がいた。
グレンロバルド家、吸血鬼でも人間でも亜人でもその名を知らぬ者はいない程に有名であった名家だ。
グレンロバルドの者たちは魔法の才能に溢れていることが多かった。なので、魔法を教える学校なるものもたくさんあった。
学校は大きく分けて2つの流派、ノヴィア派とリヴォイア派に別れていた。それと共に、グレンロバルド家の中にも対立が生まれるようになっていったのだ。
しばらくは平和に暮らしていたものの、とうとう大きな内乱が起きてしまった。
ノヴィア派の頭領、リリエッタの祖母は自分の義娘と対峙していた。彼女は、「このまま戦い続ければ、他の種族に殲滅される。」そう解っていた。
自分の持てる力を使い、彼女にできることは可愛い孫娘を逃がし、戦いを鎮めることであった。
グレンロバルドの頭領が戴くルビーのティアラに、威厳、愛情、気品と永遠の命への祈りを込め、彼女は力尽きた。
「リリエッタ、よく聞きなさい。
あなたほど美しい吸血鬼は他にいないわ。漆黒の髪、透き通る肌、そして何より、ティアラと同じルビーの瞳。
これから先、あなたはきっと恨まれ、妬まれ、羨まれることでしょう。
それでも忘れないで。あなたは私の誇りです。
これからも魔法を磨き続けなさい。ノヴィア派を守り、あなたがティアラの継承者となるのです。」
それからリリエッタに何があったか?
彼女はノヴィア派の教えを享けていたというだけで、実の親から見放され、遠くの山に追放された。
不必要になった、ルビーのティアラとともに。
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