Sudden Fiction Project①黎明編

高階經啓@J_for_Joker

第1話 わけわかんないわけ

 だから何?ってあたしは思うわけ。それが決まらなきゃ世界人類が滅亡するわけ? 地球が割れちゃうわけ? どうしてそういうことでさ、ガンガンプレッシャーかけてくるのかなあ。結婚なんかするんじゃなかったって思っちゃうわけよ。どうだっていいじゃない。ほんとにさ。


 あたしはあの部屋が好き。いまのままで好き。狭いけどお日様はよく入るし、キッチンの高さはあたしにぴったりだし。コンロは3つついているし。トイレに棚が付いているのも本が置けてすごくいいし。玄関を入ってからちょっとヘンな風に廊下が曲がっているのもなんだか個性的でいいし。エレベーターはないけど、そういう不便なのも好きだし。窓は大きいし。まあ窓が大きいから問題なんだけどさ。でもいいじゃない。お日様が出たら起きて、日が暮れたら暗くして寝ればいいんだから。だいたいさ、女のあたしが誰が覗こうが全然気にならないのにどうして男がいちいちそんなこと気にするわけ? わけわかんないわけ。


 って、なんかあたしワケワケ言ってる。これ口癖かな。まあいいか。口癖なら口癖でさ。ずーっとこんな感じでやってきたんだからさ。いまさら変わらないわけ。しおらしくなったり恥じらったりしてほしい気持ちもわかるけどさ。そういうの、「とってつけた」っていうか、長続きするわけもないしさ。


 だからさ、いいじゃん別に。なけりゃないでいい感じなんだからさ。別に今日決めなくたってさ。無理やり決めたってすぐ気に入らなくなるんだからさ。ねえだからいいじゃない。カーテンなしでも。あたしは平気だよ。


 何色がいい? とか無地が好き? とかどんな柄ならいいの? とか聞かれても答えられないわけ。見つかれば見つかるし、なければないの。理論や理屈で出てくるもんじゃないの。わかんないかなあ。バカだよね男って。


(「カーテン」ordered by yasu-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

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