第6話 先生の長い話は、日本に帰れない話だった。


そして、太郎が痺れを切らしはじめ、先生に詰め寄ろうとした時、先生はより大きな声でとんでもない事を話しはじめた。


「今、ここにいる皆さんで、勇者、英雄を捕まえて……いえ、討伐して欲しいのです。



(((((………………いやいや、ムリなので、家に早くかえして欲しいから。)))))


みんなの心の叫ぶ声がなぜか太郎には聞こえてきた。


でも先生は構わず話を続ける。



「この話しが終わらない限り、皆さんは地球……日本帰れません。」




生徒達が一斉に


『先生、それ絶対にウソですよね?』


「マジで?」


「私、帰らなきゃ。」


「そんな話、信じる訳ないでしょ?私も帰ります。」


「先生、なに言ってるかわからない。」


「って言うか、ここどこです?」


「先生の言ってる事おかしいでしょう?」


「先生!ちょっと質問があります。」


「私塾があるから早くして下さい。」


「私達は、家の1人のが迎えに来てるから、いなくなったとわかったら警察が……いえ、国が動きだしますよ?」


(マミの奴いくら大企業の娘だからって国が動く………あ、俺や香織もいるからか。)


太郎はクラスメイト達を見て改めて思った。ほとんどが女子である事に。



そして、ポケットからスマを出し時間を確認し、ネットにつなげたり地図で現在位置を確認をした。


(やっぱり繋がらない。)


太郎は、騒ぎだしたクラスメイト達がこの場を離れようとした時、みんなに大きな声で、


「みんな、スマホや携帯でネットやメール、LINEが出きるか確認してみて。」


みんなが鞄や制服のポケットからスマホなどを出し確認する。


「どこにもつながない!」


みんな、それぞれ移動してスマホや携帯がつながる場所を探しだす。 当然、電話もつながらない。



太郎はまわりを見て外に出られる場所を探しだし、そこまで少し走り出すとまるで壁でもあるような感じでぶつかって倒れた。

太郎は不思議に思い、その透明の壁がある場所に手を伸ばしたら、


バチイッ!


「痛ってぇ!」




太郎は訳もわからずビックリする。


太郎が透明の壁に接触した音を聞いたクラスメイトは一斉に太郎の方に振り替える。


「なんなんだこれはっ?」


太郎は呟く。太郎は起き上がり、先ほど見えない壁に壁にぶつかった所に手を差し出してみる。ふたたび


バチイッ!


太郎は思わず、先生を睨みつけて質問をした。


「先生、これはなんですか?」


先生は即答する。


「それは結界です。」


「ふぅ。みなさんが最後まで話しを聞いてもらう為に軽く結界がはってあります。先ほどの魔導師がはった結界です。2重にはった結界でも、勇者は関係なく内側に入りましたけど。まぁ、それほど勇者と言うのは強力な存在なのです。」


先生はかまわず話しを続ける。



「では、話を続けます。ここは、みなさんがいた地球と違い、魔法が使えます。でも、地球から来た皆さんには魔法は使えません。」




「その代わりに、地球から来た皆さんは、特別な力が1人に最低1個、多い人で2~3個特別な力を持っているはずです。勇者が来た時、椿君が(太郎の名字)見せたはずです。」



(あの瞬間移動みたいなやつか……)


「皆さんが持っているそれぞれの力を使って、私達の世界を助けて下さい。勇者と英雄を討伐でし、魔族や魔王を倒したら地球に帰る事ができます。これは、勇者と英雄討伐と魔王討伐の授業です。」


「「「「「えっ?」」」」」


しかし太郎が、


「授業?ふざけるなっ!!」



(((((椿がキレた。)))))



当然、異世界の話しや勇者や英雄の討伐より、香織の事で頭がいっぱいなので、先生の話しには突然キレた。


「そんな事より、なぜヤツが香織の事知ってんるだ!」


先生の近くまで来て怒鳴る。



「私は勇者と三ヶ日さん(香織の名字)の関係は知りません!私もさっき知ったばかりです。」



「では、違う質問をします。………勇者にはどうすれば会えますか?」


「私も誰か知っていれば教えて欲しいくらいです。椿くん、良かったら勇者や英雄探しに協力してくれますか?」


太郎は香織の為なら何でもする覚悟はあるが………


(情報が足りなすぎる。)


「勇者や英雄は、その力を使い、このテラの国々を滅ぼすと世界に宣言し、すでに2か国が世界地図から二人によってなくなりました。」


しかし、クラスメイト達は。


「私達には関係ないですよね?」


「もういい加減にして下さい。」


「先生、早くして下さい。」


「もう、意味わからない。」


「椿君と三ヶ日さんで、勝手にやって下さい。私には全然関係ないんで!」



クラスメイト達はは阿鼻叫喚だ。


そんな中いきなり香織が……



「みんな、捲き込んだ形になっちゃってごめんなさい。こんな事になるなんて全然思わなかったから。本当にごめんなさい。」


(いや、香織はせいじゃないだろうに。)


太郎とクラスメイトか唖然と香織を見ている。


しかし、先生がまた話をしだした。


「今から、一人一人にどんな力があるかを調べていきます。簡単なのですぐに終わります。」


なぜか、話しが強引に進む。



香織の謝罪や、太郎がキレた件、クラスメイト達の大クレームは?


「このあと直ぐにこの国、アーゼスト国王に謁見します。」




(((((えっ!ここの王様に?)))))



もう、地球には帰る事が出来ないじゃないだろうか?それともこれは夢か何かなのか?。


そんな事を考えていたみんなは、だんだんぼーっとしだし、眠いけど寝れない、フワフワして何となく気持ちいい感じになって、とにかく不思議な感じにおちいる。


太郎も倒れそうで倒れない。

何となく立っている状態に、ふと先生がいたはずの場所を見ると、先生がいなかった。香織の存在はその前に確認済みだ。


ふと廊下側のクラスメートを見てみると、騎士達に1人また1人と何処かに連れ出されていった。






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